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シズキョウ(日本)1/50 三号突撃砲戦車 (1964年) [AFVモデル]

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SIZUKYOU1/50(1/35?) Panzerkampfwagen III

別項でシズキョウのSFメカ「FBI777」をご紹介しましたが、そのキット内容の検証をおこなうために探し出してきたのが、この品です。
僕自身は少年時代このキットの原体験はなく、正直なところ店頭で箱絵を見かけた記憶もないのですが、この時代のキットをいろいろと検証すると面白いことが解ってくるので、よほど手の出せない高額なプレミア価格がついていない限りはコレクションとして購入してみることにしています。


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箱には堂々と“GERMAN ASSAULT GUN III” 「三号突撃砲戦車」と書かれていますが、少し戦車にお詳しい方ならばこの車両が固定砲塔型の「突撃砲」ではなく、一般的な旋回砲塔を持つ三号戦車であることはお気づきでしょう。
箱絵もキットの細部表現も曖昧ですので、厳密な型式特定は難しいですが、どうやら短砲身7.5センチ砲を装備しているように表現されているので、三号戦車N型と考えて問題ないでしょう。

……しかし何故シズキョウはこの車体を「突撃砲戦車」と名付けてしまったのでしょう。
もしかすると、短砲身7.5センチ砲を装備した三号戦車は主力戦車ではなく「火力支援車両」として開発されたため、同じく支援車両として開発された突撃砲と資料が混濁してしまったのかも知れませんし、この頃すでに他社からも各種の三号戦車のプラモデルが登場していたので、少し独自性のある商品名にしたかったのかも知れません。

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キット内容としては一般的なモーターライズ走行戦車モデルのように思われますが、組み立て説明書をよく見ると……。

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走行用のギヤボックスから伸びるシャフトに「ノック板」という部品を通し、それで床板にセットされた金属製の「発音板」を叩いて走行中にカタカタカタ!とエンジン音らしき音が出るギミックが用意されています。
また砲身内には豆電球を入れて電飾できるようになっていますが、組み立て説明書の様子から見て、赤いムギ球を入れるように考えられているようです。


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プロポーションはこんな感じ(笑)
画像ではずいぶんとチンチクリンに見えますが、これは車体下部(シャシー)が分厚いことが目立つためで、起動輪、誘導輪、転輪を取り付けてキャタピラを履かせると印象が変わるかも知れません。



それにしてもこのキット、スケールが1/50と表示されているわりには、ヤケに大柄に見えます。



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そこで試しに他社製品と比較してみることにしました。
手許に用意できたのはタミヤが近年になって発売した1/35の三号戦車N型です。


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……あらまぁ!

イエローの成形色がタミヤ1/35。
暗いグリーンがシズキョウ1/50。

つまりシズキョウの三号戦車は1/50ではなく、実寸はほぼ1/35だということですね。

シズキョウも惜しいことしたなぁ!1/35と箱に表示したほうが売れ行きが良かったんじゃない!?

……そう思うのは現代のモデラーの感覚だからかも知れません。
このシズキョウの三号戦車が発売されたのは1964年。
ミリタリーモデルを熱心に作るマニアが1/35というスケールに注目して、このクラスの主流となっていったのは、もう少し後になってからのことです。当時としては1/50というキリのいい数値のほうが親しまれたのかも知れません。

今で言うならB級キット。
でもB級グルメと同じように、こういうテイストのキットならではの何か意外な楽しみが隠されているんじゃないかな……そんなことを考えさせてくれる、憎めないキットです。

キットを眺めているうちに、なんとか完成させて走行時のエンジン音を聞きたくなってしまいました。
ゆっくりと楽しんでみようと思います。


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シズキョウ(日本) FBI777“スリーセブン” (1967年) [SF・キャラクターモデル]

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SIZUKYOU FBI777 SPECIAL GUARD VEHICLE


FBI777は1960年代から各種のプラモデルを豊富にリリースしていた旧・静岡教材社が放った、極めて独自性の高いSFヴィークル・モデルです。
モーターライズ走行し、車体後部に装備された2基のミサイルをスプリング発射できます。

新旧のプラモデルを持ち寄って楽しむオフ会でこのキットの完成品を拝見して、これは是非欲しい!と思い探し回っていたキットでした。

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箱を開けてまず驚くのは、その成形色です。
戦闘車両らしき箱絵の印象と違う、上品なパステル調のライトブルーで成形された部品がザラッと入っていて面食らいます。

初めてこのキットを見たときは、柔らかい曲面を持つ主要部品の形状も相まって、出荷時に間違って石鹸箱が入っちゃったんじゃないの?と思ってしまったほどです。


しかし内容をよく観察すると、このキットがいかに箱絵や部品の第一印象で損をしているかが解ってきます。


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まずはそのスタイリング。
シボレーのコルベットスティングレイやマンタレイなどのスポーティーカーを思わせる美麗な三次曲面でまとめられており、作りようによってはずいぶん格好良く仕上がるのではないかと思わせてくれます。

またこのキットにはユニークなことに「装飾用部品」と銘打ってフックや牽引具取り付け部などの小物部品……今で言えば「ディテールアップ用パーツ」が含まれており、ユーザーの好みで自由に取り付けられるようになっています。
メーカーオリジナルデザインのSFプラモは数多く存在しますが、1960年代においてユーザーの自由度を尊重したドレスアップ用パーツをサービスしたキットというのはかなり珍しいのではないでしょうか。

ちなみにこのキット、箱絵にもちょっぴり描かれていますが、搭乗員のフィギュアも含まれています。
砲塔後部の連装機関銃座に座らせる射撃手の上半身ですが、どうやらレベル1/40 A-1スカイレイダー攻撃機のパイロットから型取りしたもののようです。


……エフ・ビー・アイ スリーセブンというちょっとミステリアスなネーミング。
いわくありげというか、冒険活劇ものの紙芝居を思わせる箱絵。
この車両は一体、何に使うものなのだろうと思ってしまいますが……。

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答えはボックスサイドとタグに書かれてありました。

「ギャング団をノックアウトする」

そう、これは軍隊で使う戦闘車両ではなく「警察車両」なのです!
FBIは、まさしく連邦捜査局(Federal Bureau of Investigation)のことだったんですね。



しかし、シズキョウはまた何故こんな架空のメカを発売したのでしょう?
すべて新規に設計したのでしょうか。
それにしては、車台部分だけプラの成形色が極端に違うように思うのですが……。



そんな疑問を持っていろいろと調べていたら、ありました、ありました!

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シズキョウが1964年に発売した「III号突撃砲戦車」です。
実際には突撃砲ではなく、形式不明ながら短砲身型のIII号戦車ですが……。

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車台部分は両車でまったく同じでした。

なんと連邦捜査局FBIは、第二次大戦中のドイツ軍戦車改造の警備車両を装備していたのです!!(笑)


―――― この当時、戦車や装甲車などの実在した軍用車両のキットを発売した後、その部品を活用して設計したSFキットを発売するということは多くのメーカーがおこなっていました。
よく調べてみると、タミヤが昔発売していたSF戦闘ボートにも同社の戦車の砲塔部品が使われているのがわかります。
漫画、テレビ番組や映画に登場しないメーカー独自開発オリジナルデザインのSFメカだからこそできた「裏技」的な商品展開です。

現在では見ることの出来なくなった分野の製品と言えますが、逆に「壊れた戦車プラモが手許にあるけど、僕も昔のメーカーみたいにこの部品を利用してSF戦車を作ってみようかな」……そんな気持ちにさせてくれる楽しいキットのように、僕には思えます。


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オカノ(日本)1/32 ドイツジープ キューベルワーゲン (三共製1969年初版) [AFVモデル]

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OKANO(SANKYOU)1/32 Kübelwagen


1969年に三共が発売したもので、その後になってオカノというメーカーに受け継がれて再版されました。

キューベルワーゲンは有名なポルシェ博士によって設計されたフォルクスワーゲンを元に軍用車として作られたもので、第二次大戦中のドイツ軍のトレードマーク的なクルマとなったことは広く知られています。
プラモデルの世界では1970年代初期まで「ドイツ軍ジープ」と言われることも多かったようです。後に登場した田宮ミリタリーミニチュア(MM)シリーズのキューベルワーゲンも箱に「キューベルワーゲンジープ」と記載されていました。


僕は以前モデルアート増刊「PanzerGraph!」誌でプラモデルを使った特撮写真講座の連載を書かせていただいておりました。
その第12号(2008年4月号) はタミヤの誇るプラモデル・シリーズ「1/35ミリタリーミニチュアシリーズ」40周年記念号とのことで、僕の連載はいつもの撮影テクニック紹介をお休みして、タミヤが毎年開催していたミリタリーモデルの特撮情景写真コンテスト「パチッ特集」の黎明期を振り返り、検証する記事を……というオーダーをいただきました。

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調べてみると「パチッ特集」はタミヤのPR誌「タミヤニュース」に含まれるページとして1968年に産声を上げ、1970年になって別冊誌として刊行され始めたという非常に歴史の深いコンテスト本で、その黎明期……すなわち70年代いっぱいに刊行された号を細やかに検証するべく、タミヤ研究の第一人者「田宮模型歴史研究室の助手さん」こと松井さんにお願いして貴重な「パチッ特集」をすべてお借りして原稿の執筆に入りました。

まさに日本のミリタリーモデリング黎明期の貴重な写真資料集といえるパチッ特集の応募作品を見ていると、当時の熱気、ファンの飽くなき創意工夫が伝わってきて本当に楽しめましたが、同時に興味深いのは撮影の小道具として田宮以外のメーカーの製品がけっこう頻繁に使われていることでした。
特にキューベルワーゲンはよく登場していました。
当初は田宮MMシリーズのキューベルだと思って見過ごしていたのですが、よくよく考えると田宮のキューベルは1970年10月発売。この製品がまだ発売されていないか、まだ広く出回っていないであろうと思われる極初期の頃の情景写真作品にもキューベルが登場しているのです。

……ははぁ、これが噂に聞くサンキョーのキューベルワーゲンなのだなとようやく気づきました。
以前、模型趣味の大先輩から「三共のキューベルワーゲンは当時としてはなかなか良かった」といったお話をうかがったことがあったのです。

今でこそ高品質のキューベルワーゲンのキットがいくつも発売されていますが、この黎明期に活躍した古典キットもいつかは作ってみたいと探しまわり、ようやく見つけたのが、この三共からオカノに受け継がれた版です。

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箱絵はオカノで新調したもののようですが、組み立て説明書のトップにあしらわれているイラストが、三共時代の箱絵をトリミングしたものでしょう。
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キットはシンプルな設計のゼンマイ走行モデルです。

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今となっては懐かしい全金属製のゼンマイユニットと蝶ネジ型のハンドル。
当時のものとしては珍しくデカールも充実しており、国防軍、空軍、親衛隊のマーキングが選べます。


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表面のモールドも意外にしっかりしており、これならば塗装するとビシッと引き立つでしょうし、また細部を作り込んでも楽しい仕上がりになりそうな、そんな素材としての良さも感じられるように思います。


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キットをそのまま作るとガンマウントに機関銃を搭載した仕様に仕上がりますが、箱絵のように幌を展開状態に作りたいときは幌そのものを紙などで自作する必要があり、そのための型紙が組み立て説明書に印刷されているのが何ともユニークです。



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「パチッ特集号」も2号3号と続くうちに、応募作品からは三共製キューベルワーゲンの姿が消え、新登場の田宮製MMシリーズのキューベルが大活躍するようになります。


せっかくですから、ここで両者を比較してみました。

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オカノ(三共)がイエローの部品。
田宮MMシリーズがダークグレイの部品です。

なるほどなるほど、田宮が1/35なのに対して三共は1/32表示ですので、少し大柄なのがわかります。

しかし、目も当てられないほど大きさに差があるというほどでもなく、これなら1/35モデルとして使いたくなりますね!
モールドやプロポーションなどの作風も、当時の他の1/35クラスのモデルと相性が良かったと思います。

1960年代末から70年代初頭にかけて、日本のミリタリープラモデルが黎明期を迎えた頃、この趣味の大先輩達に親しまれたこの可愛らしいキューベルワーゲン。
機会を見つけて丁寧に作ってみようと思っています。



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エルエス(日本)アメリカ陸軍水陸両用トラック ダック (スケール不詳・1964年初版) [AFVモデル]

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LS DUKW353
※画像は初版のものではなく、僕が入手できた第2版頃の物です。

「ダック」はそのまま読めばDuck……アヒルのことですが、実際にはDUKW353という車両で第二次大戦中に広く使用されました。

DUKWは米軍車両の類別用語で、次のような意味があります。

D 1942年製造……First year of production code "D" is for 1942.
U 車体の型式"U"(多用途)…… utility truck (amphibious).
K 前輪駆動……Front wheel drive.
W 後輪2軸駆動……Two rear driving wheels (tandem axle).

……この略称でDUKW。
これを“ダック”と読ませて水陸両用トラックの愛称にしたわけです。
米軍が伝統的に得意としている語呂合わせ、言葉遊びです。

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エルエスの箱には正式名称のDUKW353という文字がきちんと表記してあり、また組み立て説明書にはエンジン出力、ペイロードの他にも本車の特徴である走行中にタイヤの空気圧を調整できることも書かれており、キットの開発にあたっては基本的な資料収集だけはおこなったのであろうことがうかがえます。


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またこの説明書には「ノルマンディー上陸作戦の映画でも見られるように……云々」の記述があることを考えると、1962年に公開された20世紀フォックスの大作『史上最大の作戦』に影響されて企画した製品なのかも知れません。
映画の中では米軍第2レンジャー大隊がオック岬の断崖絶壁をよじ登ってドイツ軍砲台を攻撃するシーンで、レンジャー隊員を海岸線まで運ぶのに多数のDUKW353が使われていました。
実際のところDUKW353という車両は資材や人員の海上運搬用トラックであって戦闘用車両ではなく、薄い鉄板でできた車体に銃撃を受けて少し穴が開こうものならばすぐに水没してしまう脆いクルマなので、あのような激戦地の最前線で使われることはほとんどなかったとは思いますが、一般的な上陸用舟艇とは明らかにシルエットの違う特殊装備といった風情での映画への出演は印象的でした。


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人気があったのかなかったのかわかりませんが、エルエスのダックは田舎の模型屋さんによく売れ残っていて、僕は小学生の頃に作ったことがあります。
やはりドイツ軍車両に比べて米軍車両のキットが少なかったので、ちょっと目先の変わった米軍車両なら何でも買って作ってみようと思っていたからです。しかし1970年代当時からしてずいぶんと古めかしい内容でした。

次に作ったのは21世紀に入ってからです(笑)
水遊びの出来るプラモデルを持ち寄って楽しもうという模型オフ会があり、その参加作品として製作しました。
しかしその製作を通して、このキットに関するいろいろな疑問が湧き起こってきました。

キット内容をご説明しながら、その疑問についても触れてみましょう。

エルエスのダックは非常にシンプルな構成のモーターライズキットで、一般的な自動車キットと同じような機構で前輪ステアリングが可動し、尾部にある大きな舵が連動して左右に切れるようになっています。


……ここからが疑問点です。

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実車のDUKW353は車体下面後部にあるスクリューの先に一枚の舵がついているのですが、このキットは実車の形態を無視して連動可動式の大型舵が2枚。
そしてスクリューの部品は車体への取り付け部品ともどもペタッと接着して済ますようになっていますが、これはどう見てもシャフトを車内まで通してスクリューを回すような設計の片鱗が見える……すなわち、このキットの初版はタイヤを駆動させての陸上走行とスクリュー回転で水上航行の両方がモーターライズされた水陸両用キットだったのだろうと思われるわけです。

ちょっとばかり実車と形が違うけど、水陸両用モーターライズで遊べる!?
これは楽しそうだ!

……と思ったのもつかの間。

待てよ……このキットの設計には「防水に対する処置」が施されていた形跡がほとんど無いように思えるのだが、果たしてこのキット、初版が水陸両用モーターライズ仕様だったとして、ちゃんと水に浮いたのだろうか??

もしかしたら、水陸両用として発売してみたはいいが、どうも案配が悪くて浸水がひどいため、次の版からはスクリューシャフト取り付け用の穴を埋めてしまいギヤボックスも簡略化して、単純な陸上走行用キットに改訂してしまったのかも知れませんネ。


……話題を戻して、キットのフォルムを見てましょう。
このキットにはスケール表示はありませんが、少年時代に店頭で箱の中身を眺めたときの印象は、他社の1/35スケールの戦車やトラックと並べるとちょうどいいくらいの大きさじゃないかなぁという感じで、喜んで買って帰ったのを覚えています。

そこで、イタレリが発売した1/35 DUKW353と並べて大きさを比較してみようと思い立ちました。

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イタレリのDUKWは完成するとこんな感じに仕上がります。
参考までにということで、お目汚しながら拙作をご紹介させていただきます。
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一部に簡単なディテールアップとフィギュアやアクセサリーの追加をおこなっていますが、ほとんどストレート組みです。
イタレリの製品は生真面目にDUKWを1/35で再現してあるので、実車はどんな感じのトラックなのかお解り頂けると思います。


このイタレリのDUKWとエルエスのダックの車体部品を並べてみると……。
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う~む、これは判断が難しいなァ。
車幅、車高はまぁこんなもんかなという感じで1/35に合致しますが、車体長は約5センチ短くなっています。
1/35で5センチということは実車では1メートル75センチ短いわけですから、これではもう別の車種ですね(笑)
スケール表示ができないはずです。
エルエスも惜しいことをしました。
この当時、海外製品も含めて1/35サイズのDUKWは発売されていなかったし、レジンキットを除けばイタレリが発売するまで実に40年あまりDUKWの1/35キットは出現しなかったわけで、たとえ簡単な内容の子供向けワーキングモデルとはいえ、せめて車体長があと5センチ長くて、何となくでもいいから1/35サイズに仕立てておけば、これを元にディテールアップを頑張って1/35のDUKWを作ろうというマニアもいたでしょうし、それによってチョッピリ売り上げが伸びたかも知れませんネ!


……さて、先に21世紀に入ってこのエルエス製ダックの車体部品作ったことがあると述べましたが、実は完成後に落っことしてしまってスクラップになってしまいました!

とりあえず、壊れる前の画像が少しばかり残っていましたので、ご紹介したいと思います。

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このモデルではキット付属のギヤボックス使用はあきらめ、簡単なギヤボックスを自作して前輪駆動、スクリュー回転仕様にして防水処理を施し、水陸両用を実現させました。
走行用とスクリュー用の2つのモーターを使っています。
前輪駆動にしたのは、上陸のアクションをおこなう場合に、まず水上航行しながらやがてスロープとなっている水底にタイヤが接地するわけですが、その際に最初に接地する前輪が駆動しないと地上まで駆け上がることができないだろうと考えたからです。
実際に動かしてみると、水没することなく水上航行をおこなった後、木の板で表現したスロープをエッチラオッチラと登って走行してくれました。
実は外観に関しても、エンジンルーム部分を延長したりタミヤ1/35の2.1/2トンCCKW353トラックの部品を流用してヘッドライト周辺と運転席付近を作り込んだりタイヤを換えてみたりと、けっこう気をつかって仕上げてあります。
タイヤは走行性能を考えて、もったいないと思いつつ絶版品のトミー1/35GMCトラックのゴム製を使ったと思います。
いったい何をやっているんでしょうか(笑)

とはいえ……幾つになっても、こういう工作、こういう模型は本当に楽しいデス!

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アオシマ(日本) タイガーキャプテン (1968年初版) [SF・キャラクターモデル]

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AOSHIMA Sci-Fi Machine TIGER CAPTAIN
※画像の箱絵は1970年代の再販版です。


アオシマ(青島模型教材社)というメーカーさんは、現在は自動車、航空機、艦船そして各種キャラクター製品など、どの分野に於いても一級品のキットをリリースし続ける立派なブランドの風格がありますが、昔のプラモデルファンにとっては「厳密な再現が要求されるスケールモデルには少し弱いが、子供向けの玩具的なキットのラインナップは豊富で手頃に買える」といった印象が強かったのではないでしょうか。

また他のメーカーが複雑なギヤボックスや複数のスプリング、カムなどを使った機械的なギミックに熱心だったのに対して、アオシマはあくまでプラ部品の組み合わせで「合体・分離ギミックによる形態の変化」にご執心だったように思います。
この路線は後にはアニメやテレビ特撮番組のキャラクターを題材に使った合体メカのシリーズや、アオシマオリジナルの「合体巨艦ヤマト 」などを打ち出していき独自の道を歩み始めますが、1970年代の子供たちは、そのあまりにもオモチャオモチャした風体に拒絶反応を起こすか、または「色鮮やかでにぎやかなプラモデル」として無邪気に楽しむか、極端に嗜好が別れたように思います。

そんななか、アオシマとしてもかなり豪華なオリジナル商品として1968年に発売されたのが、このタイガーキャプテンです。

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僕自身がこのキットの大きな特徴として捉えているのは、商品名そのものです。
他社のオリジナルSFモデルの場合、たいていナントカタイガーとかナニソレキングといったコードネームの前に、「地底探検ミサイル戦車」とか「原子力空中戦艦」とか……なんとなくそれっぽい「機種の類別」が書かれていて、少しでも説得力を高めようとしているわけですが、このキットの場合、書かれているのはそのものずばり「タイガーキャプテン」という名前のみで、これは初版の箱も同じです。
つまり、それがどんな組織に所属していて、どのような場所で何に使われるものなのか、一切説明がなされていないのです。
ユーザーである子供たちをある意味では突き放しているかのような姿勢とも感じられますが、実際にはそれとは逆で、そもそもが架空の存在なのだから、あまりコッチ側で用途を限定せず、作った子供たちの発想で自由に楽しんで欲しい……そんな子供たちの独創性を尊重したいという思いがあったのではないか、とも考えてしまうのです。


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このキットは、誰だったかなぁ……幼い頃に親戚のオバチャンだったか当時うちの診療所に勤めていた看護婦さんだったかに何かのお土産で買ってもらったと思います。

正直、もらったときは、どうすればいいかわからなかった。
複雑な心境なのです。
ものすごーく子供扱いされたような気分。
実際、正真正銘の子供だったわけですが。
そしてその反面、なんだか「すごーくボクの気持ちをワカッテいるお土産をもらって嬉しい」気分。

その大いなる葛藤。

子供向けのテレビ番組に出て来そうな大胆なデザインと色彩。
しかも、先っぽには「キャプテンスカーレット」の戦闘車みたいのがくっついていて、上には戦車の砲塔がデンと載っかっている。

センシャやヒコーキのプラモデルを作り始めて、ちょっとオマセになった気分でいる自分は、

「なんだよぅ、これぢゃ子供のオモチャじゃないかよぅ。僕はコンバットに出てくるような戦車が欲しかったよぉう」

……と思いつつ、しかしその反面、

「ちょっとコレ、かっこいくね?」

……と、勇壮な箱絵に惹かれている自分もいるわけです(笑)

結局、自分では作れませんでした。
知り合いのオニイチャンに作ってもらいました。
よりによってこのアイテムをオニイチャンに作ってもらうというのがまた恥ずかしかった。
そして出来上がったタイガーキャプテンの堂々たるシルエットを眺めたときは、本当に嬉しかった。

そんな思い出の残っているアイテムです。



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当時はあまり「版権」というものに対してうるさくなかったのでしょうか。
スプリング発射・分離して単独走行できる先端部分の軽車両は「キャプテンスカーレット」の追跡戦闘車を半分にちょん切った形そのもの。
砲塔はおそらく1/50スケール程度のイギリス戦車チーフテンの砲塔。
「キャプテンスカーレット」は「サンダーバード」の流れを汲むセンチュリー21プロダクションいわゆるジェリー・アンダーソンの人気特撮ドラマで、当時のイギリス陸軍新鋭戦車であるチーフテンはこの頃 多数のメーカーがプラモデルを発売していました。
……つまり、子供が格好良いと思う要素をパズルのように組み合わせて出来上がったのが、このタイガーキャプテンなのでしょう。

そこにアオシマは独自のセンスを加えています。
たいてい戦車の足回りというのはスプロケットホィール(起動輪)とアイドラーホィール(誘導輪)そしてロードホィール(転輪)が逆台形にレイアウトされていますが、タイガーキャプテンのそれは思い切りの良い三角形をなしており、お尻をキュッと上げたような印象のスタイルに仕上がります。
それに合わせてフェンダーを傾斜させて取り付けるなど、建機にも似た形態を採り入れることによって、よりSFチックな雰囲気を醸し出しています。


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……ちょっとツギハギな感じはするけど、何故だか重量感満点で特撮映画のメカみたいな魅力のあるタイガーキャプテン。

僕はふだん戦車や装甲車などのAFVモデルを好んで作りますが、そういった分野で培ったノウハウを生かして、もしかしたら今だったらすごくカッコヨク作れるんじゃないかなぁ。
そんなことを夢想させてくれる大作SFキットです。


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コグレ(日本) マーキュリー2000 (1967年) [SF・キャラクターモデル]

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KOGURE Sci-Fi Machine MERCURY2000

実際の製品名は「コグレSFシリーズ 空想科学水陸両用原子力ミサイル快速艇マーキュリー2000」といいます。
……長い名前ですね!(^^;)


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1960年代は、日本のプラモデル業界独自の文化でもある「メーカーオリジナルデザインのSFメカ・プラモデル」花盛りの時代。
この空想科学水陸両用原子力ミサイル快速艇マーキュリー2000も、コグレのデザイナーが生み出したオリジナル・メカです。

ちなみに、普通SFといえば「サイエンス フィクション」の略称としてよく使われる言葉ですが「コグレSFシリーズ」のSFは「サイエンス ファンシー」の略なのだそうです。


子供の頃、最初にプラモデルを買ったのは小学校の真向かいに建っていた雑貨屋さんでした。
店の奥には、まるで宝の山のように新旧のプラモデルが無造作に積まれており、そこから好みに合う品を見つけ出すのが本当に楽しみでした。

そんな宝の山のかなり深層部に眠っていて、掘り出したときは「なんだこれは!?」と、目ん玉を丸くしたシロモノが、まさにこの空想科学水陸両用原子力ミサイル快速艇マーキュリー2000でした。
昭和40年代後期においてもそうとう古いキットで、箱も黄ばんで縁がボロボロだったのを覚えています。

うちは両親揃って映画好きで、テレビのなにそれロードショーだとか洋画劇場なんてのを皆で楽しみにしていたような家庭環境だったので、少年としても印象に残る映画があったわけですが、このボロンボロンの箱のプラモを恐る恐る買って帰ったのにはワケがありました。


……コレに、見えたのです。

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『ミクロの決死圏』という映画です。
1966年の作品で、重傷を負って意識不明となった重要人物の治療のため特別医療チームを乗せた潜航艇“プロメテウス号”を特殊なビームで縮小してその人物に注入、体内での大冒険が始まる……というSF映画で、昔はよくテレビ放映されていました。
子供の頃、初めて観たときには特撮による体内の細やかな再現、その美しい映像に目を見張りました。

僕には空想科学水陸両用原子力ミサイル快速艇マーキュリー2000が、このプロメテウス号に見えたのです。

……でも、何か違う。
あれはボートではなかったしタイヤも付いてなかった。
でも似ている。

そうか! あれに似たような映画が他にもあるんだ!
この空想科学水陸両用原子力ミサイル快速艇マーキュリー2000ってのは、そういう、僕の見たことのない映画に出てくるボートなんだ!

……と、田舎の少年は合点しました。

モチロンこれは大いなる勘違いです。
何せ民放テレビ局が1局だけだったのがようやく2局に増えたとかいって喜んでいたような田舎の少年ですから、絶望的に情報が少ないし、こういう解釈も仕方ないワケですよ(笑)
繰り返し述べておりますが、当時はプラモデルメーカーが独自に考案したオリジナルSF物のプラモデルがけっこう出回っていた時期でした。僕は、それらの多くは自分がまだ見たことのないテレビ特撮番組や映画に登場するものなのだろうと思い込んでいたフシがあります。
真相を知ってビックラこいたのは、かなり後になってからです。

でも今になって思えば、こういうプラモデルによって楽しい夢を見させてもらったんですネ!


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空想科学水陸両用原子力ミサイル快速艇マーキュリー2000の部品構成。
非常にシンプルながら、コクピット内部をはじめ、ミサイル等の武装、そして動力機構などが手際よくまとめられています。
高速ボートと潜水艇をミックスしたようなボディにゼンマイ動力を内蔵し、水陸両用で遊べるSFマシンに仕上げる……現代のSFセンスとしても通用する抜群のアイデアです。


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さて、空想科学水陸両用原子力ミサイ……そろそろやめておきましょう(笑)……このマーキュリー2000の大きな魅力といえば、まずはそのフォルム。
先に書いたとおり『ミクロの決死圏』のプロメテウス号に似ていますが、非常に完成されたフォルムをしており、しかもスピード感溢れる箱絵とキットのフォルムがうまく合致しています。これは実に大切なポイント!
なんせ当時は「箱絵はカッコイイけど、作ってみると何だか違うゾ」といったキットもたくさんありましたから、箱絵と合致した格好良いフォルムに仕上がるというのは子供たちにとってなにより嬉しいことだったのではないでしょうか。
もちろん側面のラジエーターらしきスリットなどは省略されていますが、大人になった今このキットを眺めていると、ちょっと工夫して箱絵どおりの精密感で仕上げて……などといろいろ夢想してしまいます。


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しっかりした作りの金属製ゼンマイギヤボックス。
故障の少ないシンプルな構成ながら、2軸3方向から動力を取り出し、2つのタイヤと1個のスクリューを回転させ、水陸両用走行を実現させています。
電池やモーターを使用しないので神経質に完全密閉防水で作る必要もなく、年少者にも手軽に作って楽しめたことでしょう。


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ミサイル(魚雷?)と鳥をアレンジしたトレードマークやストライプなど、デカールもいっぱい入っています。
昔の戦闘機や攻撃機に描かれていたパーソナルマーキングを彷彿させて、楽しくなりますね!

現在では信頼性の高いプルバックゼンマイや小型モーターライズにする技術も発達しています。
LEDを使えば狭いスペースを利用しての電飾も可能ですね。
そんな時代になったからこそ、何処かに眠っているであろうこのマーキュリー2000の金型を誰かが発掘して、現代的な仕様に変更して再販してくれたらいいのになぁ!
……そんなことを夢見ています。
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レベル(アメリカ)1/32 カーチスP-40E“フライングタイガー” (1967年初版) [航空機モデル]

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Revell1/32 Curtiss P-40E FLYING TIGER 


レベルサンニーのカーチスP-40!!
この名前を聞くだけで、僕は今でもドキドキしてしまいます。

小学生の頃……それまでも飛行機のプラモデルは大小とりまぜていくつも作っていて、大好きなカーチスウォーホークはオータキ1/48などを作っていましたが、この風格ある大きな箱の1/32キットを手にしたときの喜びは、今も忘れられません。


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恐る恐ると開けた箱の中には、映画などで見たままの、僕の知っているウォーホークそのものが入っていました。


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付属の美しいカラーイラストや橋本喜久男氏による改造アイデア記事なども貪るように読みました。

アリソンエンジンも当時としては立体的なモールドで再現されており、機体の可動部の多さに目を見張りました。


組み立て説明図からの抜粋。
この可動部分の豊富さはどうでしょう!
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各動翼可動。
主脚は90度ひねって収納。もちろん各カバーも開閉。
キャノピーも開きます。

単なる置物ではなく「生きている飛行機」を作れる実感がありました。


そして極めつけは、その繊細かつ大胆な表面モールド!
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「本物の飛行機は、こんなふうになっているんだよ」とモールド自体が語りかけてくるかのような説得力。
外板の継ぎ目は「厚さ」を変えて表現され、リベットは単なるボツボツではなく、半分機体に埋め込まれたような円形。
凸モールドとスジボリの的確な使い分けによる、得も言われぬ立体感。
薄い金属板が骨組みの上に被せられ、しっかりと建て付けられて頑丈に仕上がっている……そんなことを実感させてくれました。
これしかない!本物の飛行機プラモって、これしかない!……小学生の僕は、本気でそう思いました。


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時代を超えて、世界でいちばんシャークマウスの似合う飛行機……それがP-40。
このキットにも美しいデカールが入っていました。


これ以降、現在に至るまでレベルのフライングタイガーを超える説得力、重量感、そして模型としての楽しさを持った航空機プラモデルになかなか出会えませんでした。

今でさえ、買えるものなら10個でも100個でも欲しいと僕に思わせる航空機プラモデル、それはレベル1/32のP-40です。

……でも、これは逆に寂しいことでもあります。

21世紀に入って、各社が新世代型ともいえる1/32航空機キットを出し始めました。
ですからまたいつか、このP40のようなインパクトを持ったキットが、最新の技術を駆使した素晴らしい内容で発売されてほしいと思っています。
現在の技術ならば、実機の質感を思わせる立体的表現のなされた機体に、生きている機械であることを実感させてくれる信頼性の高い可動機構を盛り込んだ航空機キットが開発できるはず。
タミヤの新しい1/32零戦やスピットファイアのように、すでに一部ではそのような製品が出回り始めたようです。
これからの展開に大いに期待したいと思います。
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リンドバーグ(アメリカ)1/32 1940年型フォード・コンバーチブル [自動車モデル]

※初版は1965年前後のパイロ製(米)。リンドバーグ版は1979年に発売.
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LINDBERG(Pyro)1/32 FORD CONVERTIBLE 1940


なかなかオシャレな箱絵が魅力のリンドバーグ版。
1/32というスケール、そして1940年型という時代背景から、昔はミリタリーディオラマの小道具としても
使われることが多かったキットですが、実は初版はパイロ社の品。
同社の消滅後に金型の一部がリンドに移り、こうして復活したもののようです。

1970年代前半の模型誌に掲載されていた第二次大戦中のディオラマに、ドイツ軍の乗用車として登場していたのを覚えています。
当時は「これは何のキットだろう?」と首を傾げたものです。
大量に生産されて世界中で使われたフォード車ですから、ドイツ軍の戦車と一緒にディオラマ上にレイアウトされていても、不思議と違和感はありませんでした。


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旧パイロ・キットの特徴は、美しい部品成形と驚くほどシンプルな構成。
昔ながらの、ちょっと丈夫で分厚い箱を開けると、鮮やかな成形色の部品がパラッと入っています。


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あまりの部品の少なさに、思わず指でつまんで「仮組み」したくなってしまいます。
しかし……おやおや、現在の自動車キットとは違い、複雑な三次曲面を持つボディは一体成形ではなく四分割。これは接着・成形が大変そうだなぁ……と思ってしまいますが、このあたりの部品のフィットは実に見事で、実際にはスムーズな工作で可愛らしいボディを手に入れることが出来ます。
これがまた、パイロの良いところです。


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サテ、取りぃ出しましたるは往年のレベルの名作。
1/32カーチスP-40“フライングタイガー”。

これはまた不思議なツーショットですが、この2つのキットが揃ったならば……


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こんな映画のワンシーンが再現できるのでした。
昔から、これがやりたかったのデス。
成形色までぴったんこ!
ディオラマにするもよし、模型特撮写真で遊ぶもよし……。

プラモデルって、本当にいろいろな楽しみ方ができますね!

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セントラル模型(日本)1/32 日産サニーエクセレント1400 (1972年初版) [自動車モデル]

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CENTRAL1/32 NISSAN SUNNY EXCELLENT 1400


1960年代後半から70年代前半にかけて少年時代を送った人々で、セントラル模型の名前を知らない方は少ないのではないでしょうか。
積極的にゼンマイカーのプラモデルを作っていなかった方でも、模型屋の棚の隅っこや、雑貨屋、文房具屋の模型売り場に、必ず可愛らしい小さい箱のスポーツカーが置かれていたのを見たことがあるはずです。


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初期の頃には日本グランプリなどで活躍したニッサンR381やマクラーレンなどのレースカーが数多く、そして息も長く発売されていましたが、後には町中でもよく目にするファミリーティーカーやGTカーがいっぱい発売されました。
国産車ではスカイラインハードトップ2000GT、コロナマークII2000GSS、スプリンター1400SRなど。
そして外車ではムスタングマッハI、ポンティアックフアイアバードトランザム、ダッジチャレンジャーラリー、マーキュリークーガーなどなど……他のスケールでもあまり見かけないアイテムが、それこそシリーズの全貌が掴み切れぬくらいいっぱい発売されて子供達を喜ばせていました。

家になんて持ち帰らず、雑貨屋の前の道ばたに部品を広げて製作開始!
完成したら友達の家や学校の廊下でレース開催!

今回はそんな中から、手元に大切に保管してあるサニーエクセレント1400をご紹介します。

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「あっこのクルマ、近所のおじさんが乗ってた!」
「うちの兄貴が初めて買ったクルマだ!」
……なぁんて方もいらっしゃるかと思います。懐かしいですね!

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キット内容も、あぁ昔のプラモデルってこんなだったよねぇ……と、思わず微笑んでしまいそうな可愛らしさです。
こういうキット、また作りたいナァと思っていた1980年代中盤、今はなきエルエスが……恐らく、このセントラルのキットのような、懐かしいゼンマイカーキットへのオマージュだったのではないでしょうか、1/32で懐かしい国産車のプラモデルを発売してくれて、本当に嬉しかったものです。

エルエスのシリーズはその後アリイに受け継がれ、今でも気軽に買うことが出来ます。
これは大変に有り難いことですが……セントラルのキットは消滅したまま。寂しいなぁ……。

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子供向けの低価格帯キットですから、内容的に贅沢は許されなかったのでしょうが、それでも少ない部品で一所懸命に実車の特徴を再現しようとしているのがわかります。
一体成形のフロントグリル。子供の頃はそのまま作ったけど、今だったらヘッドライトをくりぬいて透明レンズをはめ込んで、グリルも削り込んで、綺麗に塗装して……と、夢が広がります。


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「ゼンマイで走るプラモデルはいっぱいあったが、セントラルのやつは優秀だった……」
そうおっしゃるオールドファンの方もいます。
手で巻くゼンマイというもの自体が今では珍しくなってしまいました。


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セントラル1/32カーモデル共通のフォーマット。
エンジン再現とボンネット開閉。
ダッシュボードなど車内も再現。
前輪ステアリング可動。

なんだか、プラモデルの「基本」という気がします。
箱や部品を見ているだけで、タイムスリップしそうな楽しさがありますネ!

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エーダイ(日本・永大)1/76 V-2号ロケットセット (1973年初版) [航空機モデル]

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EIDAI 1/76 GERMAN V2 ROCKET SYSTEM


昭和40年生まれの僕らが少年時代からミリタリーのプラモデルといえば1/35、そして「ミニスケール」と呼ばれる小さくて可愛らしい1/72や1/76のキットが多くのファンに愛されていましたが、そんな中でも永大(エーダイ……と発音していました)のキットは部品が少なく、組み立てが簡単ながらも、ハセガワ1/72やフジミ1/76に比べて、どうも内容が簡単すぎるような気がして、あまり好きになれませんでした。

しかし、エーダイというメーカーに対するそんな先入観をフッ飛ばしてくれたのが、この「V-2号ロケットセット」でした。

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1970年代当時の少年たちは、このキットの内容と組み立て説明書に詳述されている解説文によって、V-2号ロケットとはいかなるものかということを教えられたのではないでしょうか。
僕自身、相当なインパクトを感じました。

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子供心にも、模型メーカーの意気込み、気迫が感じられるような思いでした。
当時600円だったとのことですが、記憶では2000円くらいして、なかなか買えないような感覚でした。
それだけ迫力あるキットだったのでしょう。

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キットには、V-2号ロケット本体とそれを運ぶキャリア、ハノマグ社製の大型トラクタ、8トンハーフトラック改造の管制装置車、追尾レーダーがセットされています。
キットの中身だけで、ロンドン市民を恐怖に陥れたと言われる歴史的な存在、V-2号ロケットの移動発射基地を再現することが出来るのです。
ただ、人形が付いていないのがチョット寂しかったような記憶があります。

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各部のモールドもたいしたもので、凸リベットやスジボリをうまく使い分けて、ノッペリしがちなミサイルの部品に精密感を与えています。
少年時代の僕はその説得力にすっかりヤラレてしまいました。


……このキットにビックラこいた小学生の僕は、いつものように接着剤ベタベタ、プラカラーぐちゃぐちゃで作る気持ちにならず、ソッと本棚にしまい込んで、何年間にも渡って、時々その箱を開けては部品をホ~ホ~と眺めて暮らしておりました。

しかし、そんな僕の「秘蔵のキット」にも、ついに晴れの舞台がやってまいりました。
それは高校に入学した後のことです。その年の文化祭では、クラスでひとつのテーマを決めて、クラス内でいくつかのグループに別れて研究成果を展示することとなりました。
さぁて、TAC君のいる1年7組のテーマは「宇宙」と決まりました。

僕らのグループでは何をするか……? 
そうだ! イラストと模型を使って、宇宙開発の歴史を展示しよう!

そこで、その後の宇宙ロケットの基礎となったV-2号ロケットから、最新のスペースシャトル・オービターなどのプラモデルを作り、ディオラマ仕立てで飾り、足りない部分をイラストで補ったのでした。

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……画像は、その当時のものです。
現像・焼き付けを不慣れな自分でやったもので失敗して悲惨な写真になっていますが、これは紛れもなくあの当時、宮崎県立延岡西高校1年7組の教室に展示されたエーダイグリップのV-2号ロケットセットです(笑)



―――― サテ皆さん、実は他にもV-2号ロケットのミニスケールキットがあったのをご存じでしょうか?

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これはレベルが発売していたものです。
僕が持っているのは1982年頃にレベルが「ヒストリーメイカーズ」というシリーズ名で古いキットを再販したときのものですので、さほど珍しいものではないのですが、中身は恐らく1960年代に発売されたV-2号ロケットそのままのはずです。

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中身はエーダイのものに負けず劣らず。
古いキットなのに精緻な部品がいっぱいセットされています。
スケールは1/54と書かれていますが、実際はもっと小さくて実寸は恐らく1/70前後ではないかと思います。


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レベルのキットの特徴は、ロケット本体とキャリア(発射台)がセットされている他に、ロケットの内部構造が再現されていることです。
キット完成後もロケット本体の左右をパカッと開けて、中の様子を見ることが出来ます。
一種の「教材」としての役割も持てる、非常に優れたキットです。

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キットには地上整備員らしいフィギュアが3体入っています。
そのうちの1人は、整った髪型でシャツにネクタイ姿、片手に重要書類らしきものを持った紳士。
これは、若き日のフォン・ブラウン博士をモデルにしているのでしょうか。
そう考えると実に楽しいキットです。


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