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モノグラム(アメリカ)1/48 ダグラスSBDドーントレス急降下爆撃機 (1960年初版) [航空機モデル]

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MONOGRAM 1/48 Douglas SBD Dauntless Dive bomber

※トップ画像は1970年代の「バンダイ・モノグラム」版です。

大型爆弾を抱え、敵艦を求めて海上を飛び「二度目はない」やり直しのきかぬダイブを敢行する……「急降下爆撃機(ダイブボマー)」は、第二次大戦を最後に消滅した、今となっては特異な機種です。
ドーントレスは第二次大戦初期、強大な日本海軍に劣勢を強いられていた米海軍にあってパイロットたちの不屈の闘志に支えられて奮戦。後には「ミッドウェー海戦」において、まるで奇跡のように乱戦の中のわずかな間隙を突いて日本海軍の誇る機動部隊を真上から急襲。その主力空母を撃沈して米軍反攻の口火を切ったと言う話はあまりにも有名です。

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ベテランモデラーの間では「モノグラム神話」と呼ばれるほど、1960年代に日本に輸入されたモノグラムの航空機キットは同時期の国産品に比べて格段にクォリティが高く、その後も驚くほど長い寿命を誇りました。

この「製品としての寿命の長さ」が、極めて面白い現象を生み出すことがあります。

僕がモノグラムの飛行機と出会って夢中になったのは小学4年から5年の頃でした。
当時バンダイが輸入販売していた「バンダイ・モノグラム」版です。
ところが、僕と干支が一回りも違うほどの大先輩の方も、同じく小学4年くらいの頃にモノグラム製品と出会って夢中になった経験があり、歳がこんなに離れているのに、それぞれ同じ年頃に同じ製品に夢中になったということで意気投合して、思い出話に花が咲くことがあるのです。
その大先輩は1960年代、モノグラム製品が日本に初めてお目見えした頃に小学4年生で、お小遣いをせっせと貯めて買い求め、僕はそれから10数年後、まったく同じ品をバンダイが輸入販売してくれたおかげで、彼と同じ小学4年生の頃に同じキットを作って楽しんだわけです。

また当時、日本のマルサンがモノグラム1/48航空機……このドーントレスやアベンジャーを複製して販売、その後ニチモに受け継がれて、これまた長寿キットとなり、本家のモノグラム版に比べて安価なうえに、高荷義之 画伯の手による迫力有るパッケージアートで、当時の少年達に人気を博したようです。


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僕が小学生上学年になった1970年代中盤頃には、既に航空機プラモは総じて精密志向に走り、可動部の無いディスプレイ仕様が多く、またほとんどのキットの箱絵にはその航空機が活躍している勇壮な絵があしらわれていました。
ボックスアートというやつですネ。
そんな中、店頭で見つけたバンダイ・モノグラム製品のパッケージは、ふだん見慣れた国産キットでは見かけないような、シンプルなキットの完成品見本写真レイアウトとなっており、これが何とも不思議というか、新鮮な感じがして、思わず箱を手にとっていました。

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雰囲気からして、これは日本の製品ではなく舶来品なのだなというのはすぐにわかりましたが(舶来品……という言葉自体、すでに懐かしいですネ)箱を開けて内容を見てビックリ!
イラストだけではなくふんだんに写真が使われている組み立て説明図、立体的な表面モールド、前時代的に簡略化されてアッという間に完成しそうなコクピット、そして主脚折りたたみなどのギミック(可動の仕掛け)が満載で、加えてパイロット以外にも整備員などのオマケが豊富に含まれていて、僕としては今までほとんど見たこともないようなキットでした。

……実際の処、1960年代の航空機プラモは可動モデル全盛で、国内外の多くのキットが脚引き込みや実機をなぞらえた主翼折りたたみ機構を持っており、ものによってはモーターライズでプロペラ回転というのがほとんど常識的だったのですが、1965年生まれで多感な少年時代を迎えた頃には既にそんな時代が終わって、精密なディスプレイ型航空機プラモを見慣れていた僕にとって、このクラシカルな内容のキットは今まで見たことのない魅力に溢れていて、まるで宝物を手に入れたような気がしたものでした。

とにかく「各部が可動する」ということが「昆虫の標本のように動かないプラモデルではなく、まさに生きている飛行機を再現した楽しいプラモデル」に思えたのです!


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多彩なアクセサリーに加えて、主脚引き込み、ダイブブレーキ連動開閉、爆弾投下……この小さなキットの機体にこれだけのギミックを仕込むのはかなり無理があるのではないか?……そう思う方もいらっしゃるでしょうが、ここがモノグラムのスゴイところで、どのギミックも確実に作動して、丁寧に扱っていれば完成後に壊れることがありません。


―――― この当時、せっせとお小遣いを貯めてバンダイ・モノグラムとして発売された単発機キットはほとんど作りましたが、そんな中からこのドーントレスを真っ先にご紹介するのにはワケがあります。

このドーントレスは、当時小学生だった僕が生まれて初めて「ジオラマ」らしきものを完全自作で作った、個人的には非常に思い出深い品なのです。
もちろんそれまでにも国産品のジオラマキットを作ったことがありましたが、それはたいてい地形を再現したベース部品や木々を再現するための材料が同梱されたもので、キットを組み立てればジオラマ仕立てに仕上がるというもので、地面……台座から自分で作ったのはこのドーントレスが初めてでした。

ジオラマ……といっても、このキットには機体以外に整備員や爆弾運搬用ドリーなどのオマケが入っていたから、それを綺麗に展示しておきたいという、まァ「飾り台」みたいなものだったのですが(笑)
クッキー菓子の空き箱をニス塗りの木箱のように茶色く塗り、キットの箱から切り抜いた機名をタイトル代わりに貼り付け、そしてその上に空母の飛行甲板に見立ててバルサ材を貼り、ちょっとした飾り付けをしたうえで、完成した機体と付属のアクセサリー、フィギュアを並べて飾ったのでした。
遊びに来た同級生の友達に感心され、羨ましがられたのを覚えています。

そんなことが出来たのも、モノグラムのドーントレスが主脚引き込み可動で飛行状態と駐機状態の両方のフォルムが楽しめ、しかもアクセサリーが豊富に含まれているといった楽しい内容だったためで、その後に作ったモノグラムの飛行機キットにも簡単なジオラマ仕立ての台を作って飾るようにしました。


―――― このジオラマ、もちろん今となっては現存していませんので、記憶を頼りに絵を描いてみました。

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なにせイラストは大の苦手で、稚拙な解りにくい絵になってしまい申し訳ございません。
何のことはないタダの飾り台なのですが、当時の子供としてはこういうものを自分で作れたのが嬉しくて仕方ありませんでした。


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それにしてもこの立体感溢れるモールド……今見ても、溜息が出ます。
ちょっと、オーバーじゃないのかなぁ……と、思う方もいらっしゃるでしょう。
しかし、最近の繊細なモールドを持つ精密キットを塗装するときによく行う「薄吹き」ではなく、大胆に、いわば鉄製の外板にペンキを塗る感覚で塗装してみてください。
このパンチの効いたモールドの描き出す陰影が、まさに実機のように感じられるはずです。

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細かい部品は袋詰めにされ、機体のフォルムが一目でわかる主要部品のみシートに貼り付けられているのがバンダイ・モノグラム版の特徴でした。

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このシートから部品をそっと取り外すと、バンダイ・モノグラムのシリーズとして発売されている様々な機体の塗装カラーガイドが姿を現します。
“FLIGHT PATROL”というキャッチコピーともども、この細密カラー図は購買意欲をそそりました。

バンダイ版独自のサービスとしては、このカラーシートに加えて航空隊の部隊マークを再現したけっこう大判のステッカーまでオマケに入っていたりもしましたから、当時の飛行機好きの子供は大喜びでカバンや自転車に貼ったものです。

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後になって、アメリカ建国200年記念のお祝いムードに乗って海戦映画「ミッドウェイ」が公開されており、この作品とタイアップしたリーフレットもオマケに入っていた時期もありました。
子供は、こういうオマケに弱いんです。



……さて、10年ほど前に気紛れに作った完成品がまだ手許に残っていたので写真を撮り直してみました。
稚拙な仕上がりですがご笑覧ください。
昔作ったジオラマへの個人的オマージュみたいな構図にしてみました。

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フォルムはキットそのまま。
コクピットや後部銃座には他のキットから持ってきた部品でちょっとだけお化粧直しをしてみました。
ダイブブレーキは丁度良い径のピンパイス・ドリルがあったのでこまめに開口してみました。
主脚引き込み、ダイブブレーキ連動開閉、爆弾投下などのギミックは全て生かしてあり、手許に残っていたミニベビーモーターを仕込んでモーターライズでプロペラが回るようにしてみました。
いろいろ遊べて本当に楽しいキットです。

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―――― また、繰り返し述べてきたように初期モノグラムのキットの醍醐味は豊富なギミックです。

それを最大限に生かせば、こんな写真を撮って遊ぶこともできます。



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……種を明かせば、このとおり!(笑)



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何も難しいことをせずとも、キットの素性を生かしてチョット工夫するだけで、こんな遊び方ができるんです。
ちなみに撮影に使ったのもオリンパスの一般的なコンパクトデジタルカメラ。
照明は天井の蛍光灯だけです。

ねっ、楽しいでしょ!(^^)



―――― 正統派航空機モデラーの方がご覧になれば笑ってしまいそうな完成品まで恥ずかしげもなく掲載してしまいましたが、今でも僕は一連の「オール可動型 古典的モノグラム航空機キット」をこよなく愛しています。
これからも手許にある懐かしいモノグラムの航空機キットを出来るだけ多く紹介していきたいと思っています。


……今回は強く思い出に残るキットのご紹介だったので、いつになく饒舌になってしまいました。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

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