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シズキョウ(日本)1/50 三号突撃砲戦車 (1964年) [AFVモデル]

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SIZUKYOU1/50(1/35?) Panzerkampfwagen III

別項でシズキョウのSFメカ「FBI777」をご紹介しましたが、そのキット内容の検証をおこなうために探し出してきたのが、この品です。
僕自身は少年時代このキットの原体験はなく、正直なところ店頭で箱絵を見かけた記憶もないのですが、この時代のキットをいろいろと検証すると面白いことが解ってくるので、よほど手の出せない高額なプレミア価格がついていない限りはコレクションとして購入してみることにしています。


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箱には堂々と“GERMAN ASSAULT GUN III” 「三号突撃砲戦車」と書かれていますが、少し戦車にお詳しい方ならばこの車両が固定砲塔型の「突撃砲」ではなく、一般的な旋回砲塔を持つ三号戦車であることはお気づきでしょう。
箱絵もキットの細部表現も曖昧ですので、厳密な型式特定は難しいですが、どうやら短砲身7.5センチ砲を装備しているように表現されているので、三号戦車N型と考えて問題ないでしょう。

……しかし何故シズキョウはこの車体を「突撃砲戦車」と名付けてしまったのでしょう。
もしかすると、短砲身7.5センチ砲を装備した三号戦車は主力戦車ではなく「火力支援車両」として開発されたため、同じく支援車両として開発された突撃砲と資料が混濁してしまったのかも知れませんし、この頃すでに他社からも各種の三号戦車のプラモデルが登場していたので、少し独自性のある商品名にしたかったのかも知れません。

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キット内容としては一般的なモーターライズ走行戦車モデルのように思われますが、組み立て説明書をよく見ると……。

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走行用のギヤボックスから伸びるシャフトに「ノック板」という部品を通し、それで床板にセットされた金属製の「発音板」を叩いて走行中にカタカタカタ!とエンジン音らしき音が出るギミックが用意されています。
また砲身内には豆電球を入れて電飾できるようになっていますが、組み立て説明書の様子から見て、赤いムギ球を入れるように考えられているようです。


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プロポーションはこんな感じ(笑)
画像ではずいぶんとチンチクリンに見えますが、これは車体下部(シャシー)が分厚いことが目立つためで、起動輪、誘導輪、転輪を取り付けてキャタピラを履かせると印象が変わるかも知れません。



それにしてもこのキット、スケールが1/50と表示されているわりには、ヤケに大柄に見えます。



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そこで試しに他社製品と比較してみることにしました。
手許に用意できたのはタミヤが近年になって発売した1/35の三号戦車N型です。


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……あらまぁ!

イエローの成形色がタミヤ1/35。
暗いグリーンがシズキョウ1/50。

つまりシズキョウの三号戦車は1/50ではなく、実寸はほぼ1/35だということですね。

シズキョウも惜しいことしたなぁ!1/35と箱に表示したほうが売れ行きが良かったんじゃない!?

……そう思うのは現代のモデラーの感覚だからかも知れません。
このシズキョウの三号戦車が発売されたのは1964年。
ミリタリーモデルを熱心に作るマニアが1/35というスケールに注目して、このクラスの主流となっていったのは、もう少し後になってからのことです。当時としては1/50というキリのいい数値のほうが親しまれたのかも知れません。

今で言うならB級キット。
でもB級グルメと同じように、こういうテイストのキットならではの何か意外な楽しみが隠されているんじゃないかな……そんなことを考えさせてくれる、憎めないキットです。

キットを眺めているうちに、なんとか完成させて走行時のエンジン音を聞きたくなってしまいました。
ゆっくりと楽しんでみようと思います。


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シズキョウ(日本) FBI777“スリーセブン” (1967年) [SF・キャラクターモデル]

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SIZUKYOU FBI777 SPECIAL GUARD VEHICLE


FBI777は1960年代から各種のプラモデルを豊富にリリースしていた旧・静岡教材社が放った、極めて独自性の高いSFヴィークル・モデルです。
モーターライズ走行し、車体後部に装備された2基のミサイルをスプリング発射できます。

新旧のプラモデルを持ち寄って楽しむオフ会でこのキットの完成品を拝見して、これは是非欲しい!と思い探し回っていたキットでした。

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箱を開けてまず驚くのは、その成形色です。
戦闘車両らしき箱絵の印象と違う、上品なパステル調のライトブルーで成形された部品がザラッと入っていて面食らいます。

初めてこのキットを見たときは、柔らかい曲面を持つ主要部品の形状も相まって、出荷時に間違って石鹸箱が入っちゃったんじゃないの?と思ってしまったほどです。


しかし内容をよく観察すると、このキットがいかに箱絵や部品の第一印象で損をしているかが解ってきます。


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まずはそのスタイリング。
シボレーのコルベットスティングレイやマンタレイなどのスポーティーカーを思わせる美麗な三次曲面でまとめられており、作りようによってはずいぶん格好良く仕上がるのではないかと思わせてくれます。

またこのキットにはユニークなことに「装飾用部品」と銘打ってフックや牽引具取り付け部などの小物部品……今で言えば「ディテールアップ用パーツ」が含まれており、ユーザーの好みで自由に取り付けられるようになっています。
メーカーオリジナルデザインのSFプラモは数多く存在しますが、1960年代においてユーザーの自由度を尊重したドレスアップ用パーツをサービスしたキットというのはかなり珍しいのではないでしょうか。

ちなみにこのキット、箱絵にもちょっぴり描かれていますが、搭乗員のフィギュアも含まれています。
砲塔後部の連装機関銃座に座らせる射撃手の上半身ですが、どうやらレベル1/40 A-1スカイレイダー攻撃機のパイロットから型取りしたもののようです。


……エフ・ビー・アイ スリーセブンというちょっとミステリアスなネーミング。
いわくありげというか、冒険活劇ものの紙芝居を思わせる箱絵。
この車両は一体、何に使うものなのだろうと思ってしまいますが……。

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答えはボックスサイドとタグに書かれてありました。

「ギャング団をノックアウトする」

そう、これは軍隊で使う戦闘車両ではなく「警察車両」なのです!
FBIは、まさしく連邦捜査局(Federal Bureau of Investigation)のことだったんですね。



しかし、シズキョウはまた何故こんな架空のメカを発売したのでしょう?
すべて新規に設計したのでしょうか。
それにしては、車台部分だけプラの成形色が極端に違うように思うのですが……。



そんな疑問を持っていろいろと調べていたら、ありました、ありました!

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シズキョウが1964年に発売した「III号突撃砲戦車」です。
実際には突撃砲ではなく、形式不明ながら短砲身型のIII号戦車ですが……。

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車台部分は両車でまったく同じでした。

なんと連邦捜査局FBIは、第二次大戦中のドイツ軍戦車改造の警備車両を装備していたのです!!(笑)


―――― この当時、戦車や装甲車などの実在した軍用車両のキットを発売した後、その部品を活用して設計したSFキットを発売するということは多くのメーカーがおこなっていました。
よく調べてみると、タミヤが昔発売していたSF戦闘ボートにも同社の戦車の砲塔部品が使われているのがわかります。
漫画、テレビ番組や映画に登場しないメーカー独自開発オリジナルデザインのSFメカだからこそできた「裏技」的な商品展開です。

現在では見ることの出来なくなった分野の製品と言えますが、逆に「壊れた戦車プラモが手許にあるけど、僕も昔のメーカーみたいにこの部品を利用してSF戦車を作ってみようかな」……そんな気持ちにさせてくれる楽しいキットのように、僕には思えます。


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