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コグレ(日本) マーキュリー2000 (1967年) [SF・キャラクターモデル]

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KOGURE Sci-Fi Machine MERCURY2000

実際の製品名は「コグレSFシリーズ 空想科学水陸両用原子力ミサイル快速艇マーキュリー2000」といいます。
……長い名前ですね!(^^;)


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1960年代は、日本のプラモデル業界独自の文化でもある「メーカーオリジナルデザインのSFメカ・プラモデル」花盛りの時代。
この空想科学水陸両用原子力ミサイル快速艇マーキュリー2000も、コグレのデザイナーが生み出したオリジナル・メカです。

ちなみに、普通SFといえば「サイエンス フィクション」の略称としてよく使われる言葉ですが「コグレSFシリーズ」のSFは「サイエンス ファンシー」の略なのだそうです。


子供の頃、最初にプラモデルを買ったのは小学校の真向かいに建っていた雑貨屋さんでした。
店の奥には、まるで宝の山のように新旧のプラモデルが無造作に積まれており、そこから好みに合う品を見つけ出すのが本当に楽しみでした。

そんな宝の山のかなり深層部に眠っていて、掘り出したときは「なんだこれは!?」と、目ん玉を丸くしたシロモノが、まさにこの空想科学水陸両用原子力ミサイル快速艇マーキュリー2000でした。
昭和40年代後期においてもそうとう古いキットで、箱も黄ばんで縁がボロボロだったのを覚えています。

うちは両親揃って映画好きで、テレビのなにそれロードショーだとか洋画劇場なんてのを皆で楽しみにしていたような家庭環境だったので、少年としても印象に残る映画があったわけですが、このボロンボロンの箱のプラモを恐る恐る買って帰ったのにはワケがありました。


……コレに、見えたのです。

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『ミクロの決死圏』という映画です。
1966年の作品で、重傷を負って意識不明となった重要人物の治療のため特別医療チームを乗せた潜航艇“プロメテウス号”を特殊なビームで縮小してその人物に注入、体内での大冒険が始まる……というSF映画で、昔はよくテレビ放映されていました。
子供の頃、初めて観たときには特撮による体内の細やかな再現、その美しい映像に目を見張りました。

僕には空想科学水陸両用原子力ミサイル快速艇マーキュリー2000が、このプロメテウス号に見えたのです。

……でも、何か違う。
あれはボートではなかったしタイヤも付いてなかった。
でも似ている。

そうか! あれに似たような映画が他にもあるんだ!
この空想科学水陸両用原子力ミサイル快速艇マーキュリー2000ってのは、そういう、僕の見たことのない映画に出てくるボートなんだ!

……と、田舎の少年は合点しました。

モチロンこれは大いなる勘違いです。
何せ民放テレビ局が1局だけだったのがようやく2局に増えたとかいって喜んでいたような田舎の少年ですから、絶望的に情報が少ないし、こういう解釈も仕方ないワケですよ(笑)
繰り返し述べておりますが、当時はプラモデルメーカーが独自に考案したオリジナルSF物のプラモデルがけっこう出回っていた時期でした。僕は、それらの多くは自分がまだ見たことのないテレビ特撮番組や映画に登場するものなのだろうと思い込んでいたフシがあります。
真相を知ってビックラこいたのは、かなり後になってからです。

でも今になって思えば、こういうプラモデルによって楽しい夢を見させてもらったんですネ!


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空想科学水陸両用原子力ミサイル快速艇マーキュリー2000の部品構成。
非常にシンプルながら、コクピット内部をはじめ、ミサイル等の武装、そして動力機構などが手際よくまとめられています。
高速ボートと潜水艇をミックスしたようなボディにゼンマイ動力を内蔵し、水陸両用で遊べるSFマシンに仕上げる……現代のSFセンスとしても通用する抜群のアイデアです。


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さて、空想科学水陸両用原子力ミサイ……そろそろやめておきましょう(笑)……このマーキュリー2000の大きな魅力といえば、まずはそのフォルム。
先に書いたとおり『ミクロの決死圏』のプロメテウス号に似ていますが、非常に完成されたフォルムをしており、しかもスピード感溢れる箱絵とキットのフォルムがうまく合致しています。これは実に大切なポイント!
なんせ当時は「箱絵はカッコイイけど、作ってみると何だか違うゾ」といったキットもたくさんありましたから、箱絵と合致した格好良いフォルムに仕上がるというのは子供たちにとってなにより嬉しいことだったのではないでしょうか。
もちろん側面のラジエーターらしきスリットなどは省略されていますが、大人になった今このキットを眺めていると、ちょっと工夫して箱絵どおりの精密感で仕上げて……などといろいろ夢想してしまいます。


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しっかりした作りの金属製ゼンマイギヤボックス。
故障の少ないシンプルな構成ながら、2軸3方向から動力を取り出し、2つのタイヤと1個のスクリューを回転させ、水陸両用走行を実現させています。
電池やモーターを使用しないので神経質に完全密閉防水で作る必要もなく、年少者にも手軽に作って楽しめたことでしょう。


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ミサイル(魚雷?)と鳥をアレンジしたトレードマークやストライプなど、デカールもいっぱい入っています。
昔の戦闘機や攻撃機に描かれていたパーソナルマーキングを彷彿させて、楽しくなりますね!

現在では信頼性の高いプルバックゼンマイや小型モーターライズにする技術も発達しています。
LEDを使えば狭いスペースを利用しての電飾も可能ですね。
そんな時代になったからこそ、何処かに眠っているであろうこのマーキュリー2000の金型を誰かが発掘して、現代的な仕様に変更して再販してくれたらいいのになぁ!
……そんなことを夢見ています。
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