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日東科学(日本)1/35 アリゲーター L.V.T.(A)5 (1968年初版) [AFVモデル]

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NITTO1/35 L.V.T.(A)5 Alligator


フロリダの湿地帯などで輸送・救援に使おうと開発された水陸両用車を原型として造られた上陸作戦用の水陸両用装甲車両です。この主の車両の登場で、米海兵隊はよほどの断崖絶壁でない限り地球上のどのような地形でも大規模な上陸作戦を展開できるようになったと言われます。
兵員輸送型は水陸両用を意味する「アンフィビアン」そして装軌式(キャタピラ式)を意味する「トラック」を組み合わせた言葉遊び的なニックネームで“アムトラック”と呼ばれ、砲塔を載せた火力支援用はこれに準じて“アムタンク”と呼ばれました。
日東科学が製品化したL.V.T.(A)5は第二次大戦末期に活躍したL.V.T.(A)4を改良した戦後型アムタンクです。

初版の箱絵は平野光一画伯の手によるもので、上陸した海岸線で戦闘中のL.V.T.(A)5と海兵隊員が描かれている迫力ある作画ですが、L.V.T.(A)5実車の登場時期から見て朝鮮戦争時か戦後間もない頃の演習中の風景といったところでしょうか。


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僕がこのキットを初めて作ったのは1980年代に入ってからです。
タミヤMMシリーズを思わせる真っ白な背景に車体が描かれたパッケージの再販品を店頭で見かけ、これは珍しいキットだと思い喜んで買い求めました。



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箱を開けると、大柄の車体のわりには簡素な部品構成でまとめられており、ディスプレイキットして売られてはいるものの過去にはモーターライズ版があった形跡があり、しかもキャタピラが懐かしいゴム製だったので、そうとう古いキットの再版なのだということが一目で解りましたが、まさか1960年代のシロモノだとは思いませんでした。


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さて、古いモーターライズ版の部品構成と組み立て説明書を丹念に見てみると、もしかしてこれは水陸両用モーターライズ走行するのではないか?と期待してしまいます。
水に浮くことは浮くでしょうが、完全な防水処置への配慮が見あたらないため、キットのまま作っただけではお風呂に浮かべるのは諦めたほうがよさそうです。


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組み立て説明書には実車写真も掲載されており、現存する車体を取材してキットを設計したという雰囲気が漂います。


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これは数年前に友達と自衛隊 土浦武器学校を見学したときに撮ったもので、創設間もない頃に自衛隊が資材開発参考品として導入した車体です。
日東科学のキットとどんぴしゃりのL.V.T.(A)5です。写真の雰囲気からも、日東はここで取材をしたことがわかります。


―――― 日東科学の1/35ミリタリーモデルは、後にはケッテンクラートでタミヤとバッティングしてしまいますが、初期の頃には他社が目を付けないユニークなアイテムを率先してリリースしていたように思います。
ただ、先発キットの米軍ハーフトラックがモノグラム製を手本にしていたように、もしかしたらこのアリゲーターも海外製品を参考にしたものなのか?という疑問も湧いてきます。

この当時、参考になりそうなキットと言えばこれしかありません。
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アダムズが1958年に発売し、その後スナップ、ライフライクと受け継がれた1/40スケールキットです。
商品名はL.V.T.(A)(4)となっており(注:キットの表示ママ)絵本から採られた“WINNIE the WHALE”(鯨のウィニー)というニックネームが付いています。
実際には日東と同じ戦後型のL.V.T.(A)5です。アダムズが実車取材したのも1950年代でしょうから、この型になってしまったということでしょう。

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キット内容を比較してみると、確かに大筋の部分で日東はアダムズのWINNIE the WHALEを参考にはしているでしょうが、設計は自社でやり直してきちんと1/35スケールに改め、モーターライズ機構とスケール性を両立させようと気配りしているのがわかります。
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ただし、専門の腕の立つ彫像師に依頼しなければならないフィギュアまでは手が回らなかったらしく、あっさりとアダムズのWINNIE the WHALEのキット付属のものを複製して済ませています。
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こういった部分に手をかけていれば、もっと高い評価をもらえた品ではないかと思います。
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……現在ではイタレリが1/35でL.V.T.シリーズを豊富に発売していますが、第二次大戦後に運用されて朝鮮戦争などでも使われたL.V.T.(A)5の1/35キットは現在に於いても日東科学製が唯一の存在です。
後になって台湾のブルータンク社に金型が移ったらしく、その際の再販品は今でも手に入りますので、コレクションに加えておいても悪くないかも知れません。


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