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レンウォール(アメリカ)1/32 M47 ジェネラルパットンII 中戦車 (1958年頃) [AFVモデル]

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Renwal 1/32 M47 GENERAL PATTON II


1951年よりアメリカ陸軍主力戦車として配備されたM47パットンIIですが、海外に輸出されて内戦や紛争で使われたものは別として、本家本元の米軍所属車両としては大きな戦闘を経験しないままわずか5年半程度で退役したため、かなり地味な存在となっているようです。

ところがこれが映画の世界となると話は別で、各国に輸出されていたからハリウッド映画の撮影班が海外のロケ先で容易に手配出来る信頼性の高い劇用車だったらしく『バルジ大作戦』『パットン大戦車軍団』『アルデンヌの戦い』『アンツィオ大作戦』など様々な映画で第二次大戦中の米・独 両軍戦車を演じており、スクリーン上ではM24チャフィ軽戦車などと並んでマサに売れっ子役者でした。

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そういった幾多の映画の影響があったのかなかったのか、それとも単に外国製高級キットを模倣したかっただけなのか、1960年代の国産プラモデル界ではパットン戦車が大人気で、このレンウォールの大作キットも日本国内の様々なメーカーから手本とされ、似たようなキットが市場に溢れていたようです。
なかには箱絵ごと模倣してしまった物や、モーターライズ、リモコン仕様にしてしまった物もあったようです。
なにせ“高級舶来品”であるレンウォール製品はヘタをすると当時の大学出の初任給ほどの価格で売られることもあったらしく、国内メーカー製の廉価版は喜ばれたのかも知れません。


実車のM47パットンIIについては個人的な思い出もあります。
若い頃に在籍していた映像専修学校の学部がS県内にあったのですが、その近くに大手ミリタリーショップ店主さんの所有する大きな倉庫があり、その敷地内にこのM47がデン!と置かれていて、何度か見物に行ったことがあります。
旧防衛庁が1960年代に国産戦車“ST”(後の61式戦車)開発にあたって参考資材として導入し、後に廃棄処分したスクラップを回収して、外見だけ復元したものです。
背丈があるからか、自衛隊基地祭で見物したことのある国産の74式戦車より遙かに大きく感じられ、まるで鉄でできた巨人がアグラをかいて座っているようで、たいへん強そうに見えたのを覚えています。
古い米軍戦車など見る機会も少ないので興味津々、車体はもちろんフェンダーも何もかも異様に頑丈そうだったから、ゲンコでガンガン叩いてみたら持ち主の方にすごくイヤな顔をされたのもハッキリ覚えています(笑)


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僕がこのキットを初めて目にしたのは1980年代に入った頃でした。
当時はレベルのブランドで売られていて、完成品見本写真パッケージとなっていたので箱を見ただけでだいたいの内容が理解できたのですが、どう考えても新製品とは思えないレトロな風合いだったため、これは絶対に古いキットの再販だ!と思い、多少値は張りましたが恐る恐る買って帰りました。
内容を検討して、これは1950年代のレンウォール製品だろうと見当を付けたのはしばらく経ってからのことでした。


この時代のレンウォール製品を手に取ると、僕の頭の中には「教材」という言葉が浮かびます。

下はよくレンウォールのキットに入っていたミニカタログですが……
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後に日本国内のメーカーからも手本にされた透明の人体や動物の模型などなど……。
どの製品も、現代的な感覚においての「プラモデル」というよりは、作って楽しめる「教材」というテイストが強いように思います。
それと同じ香りを、僕はレンウォールのミリタリーモデルの分野でも感じ取ってしまいます。

実は僕は本家サイト“BANANA GUYs”のコンテンツでも同じ事を書いているのですが、このパットン戦車のプラモデルは、子供から「パパ、戦車ってどういうものなの?」と尋ねられたお父さんが休日に買ってきて、お話をしながら子供と一緒に作る……もしかするとお父さんは在郷軍人かも知れないし退役軍人かも知れない。予備役かも知れない。そういう立場で、自分の職場でよく目にしていた“道具”を、模型作りによって子供に説明する……そんな類の製品なのではないかと思ったりするのです。



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溢れんばかりの重量感!
戦車の「重さ」まで表現したような力強いデッサンで仕上げられています。
やはり実戦で使用されて武勲をたてたとか、ドラマチックなエピソードを持っていない車体なので、模型メーカーは1960年代も後半に入るとM47に対して途端に冷淡になります。
精密なスケールモデルとしての鑑賞に耐えるM47のキットの出現は1970年代後半に入ってイタラエレイ(現イタレリ)が自国イタリアの陸軍で使われていた車体を綿密に取材して1/35で模型化するまで待たねばなりませんでしたが、前時代的なしつらえとはいえレンウォールのキットも模型的な魅力に溢れています。


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実車のサスペンションは所謂トーションバー方式ですが、このキットはホィール2つを一組にしたシーソー式でカチャカチャと可動するようになっていて、完成してみるといかにもトーションバーで動いているように見えるという楽しいギミックが付いています。
キャタピラは現在のキットに見られるポリ製のものよりやや硬い材質で、少々扱いが厄介です。


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これは後のイタラエレイ1/35キットにも影響を与えたのではないかと思われるエンジン部分。
コンチネンタル製ツインターボV型12気筒空冷ガソリンエンジンの上面部分が一枚の大きな部品に彫り込まれており、小型ハッチをいくつも手動で開閉させて覗き見ることができます。


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このキット最大のチャームポイント。
砲身をゆっくり押し下げると、砲塔上の2つのハッチが開いて、ちょっとコミカルな造作の戦車隊員がヒョッコリ顔を出すオモチャ的なギミックが仕込まれています。
実際に作ってみるとたいへん微笑ましく、子供が見ると大喜びしそうです。
キットにはこれ以外に3体のフィギュアが含まれています。



―――― 20年ほど前に作った際の写真が残っていました。ご笑覧ください。


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いやぁ失敗しました!
このキット、そのまま作ると、どうも見覚えのないヘッドライトの形状になってしまうので、金属材でライトガードを自作するなどして、よく実車写真で見かける型式のものに改造してしまったのですが、よくよく考えるとレンウォールはM47の中でも極めて初期の型を取材して模型化したのではないかと思うのです。
余計な小細工などせず、キットのままの仕様で作るべきでした。

こうして一個作ってもまったく飽きない楽しいキットですから、またいつかもう一個手がけて……そのときはキット内容に忠実に仕上げてみようと思っています。


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