エーダイ(日本・永大)1/76 V-2号ロケットセット (1973年初版) [航空機モデル]
EIDAI 1/76 GERMAN V2 ROCKET SYSTEM
昭和40年生まれの僕らが少年時代からミリタリーのプラモデルといえば1/35、そして「ミニスケール」と呼ばれる小さくて可愛らしい1/72や1/76のキットが多くのファンに愛されていましたが、そんな中でも永大(エーダイ……と発音していました)のキットは部品が少なく、組み立てが簡単ながらも、ハセガワ1/72やフジミ1/76に比べて、どうも内容が簡単すぎるような気がして、あまり好きになれませんでした。
しかし、エーダイというメーカーに対するそんな先入観をフッ飛ばしてくれたのが、この「V-2号ロケットセット」でした。
1970年代当時の少年たちは、このキットの内容と組み立て説明書に詳述されている解説文によって、V-2号ロケットとはいかなるものかということを教えられたのではないでしょうか。
僕自身、相当なインパクトを感じました。
子供心にも、模型メーカーの意気込み、気迫が感じられるような思いでした。
当時600円だったとのことですが、記憶では2000円くらいして、なかなか買えないような感覚でした。
それだけ迫力あるキットだったのでしょう。
キットには、V-2号ロケット本体とそれを運ぶキャリア、ハノマグ社製の大型トラクタ、8トンハーフトラック改造の管制装置車、追尾レーダーがセットされています。
キットの中身だけで、ロンドン市民を恐怖に陥れたと言われる歴史的な存在、V-2号ロケットの移動発射基地を再現することが出来るのです。
ただ、人形が付いていないのがチョット寂しかったような記憶があります。
各部のモールドもたいしたもので、凸リベットやスジボリをうまく使い分けて、ノッペリしがちなミサイルの部品に精密感を与えています。
少年時代の僕はその説得力にすっかりヤラレてしまいました。
……このキットにビックラこいた小学生の僕は、いつものように接着剤ベタベタ、プラカラーぐちゃぐちゃで作る気持ちにならず、ソッと本棚にしまい込んで、何年間にも渡って、時々その箱を開けては部品をホ~ホ~と眺めて暮らしておりました。
しかし、そんな僕の「秘蔵のキット」にも、ついに晴れの舞台がやってまいりました。
それは高校に入学した後のことです。その年の文化祭では、クラスでひとつのテーマを決めて、クラス内でいくつかのグループに別れて研究成果を展示することとなりました。
さぁて、TAC君のいる1年7組のテーマは「宇宙」と決まりました。
僕らのグループでは何をするか……?
そうだ! イラストと模型を使って、宇宙開発の歴史を展示しよう!
そこで、その後の宇宙ロケットの基礎となったV-2号ロケットから、最新のスペースシャトル・オービターなどのプラモデルを作り、ディオラマ仕立てで飾り、足りない部分をイラストで補ったのでした。
……画像は、その当時のものです。
現像・焼き付けを不慣れな自分でやったもので失敗して悲惨な写真になっていますが、これは紛れもなくあの当時、宮崎県立延岡西高校1年7組の教室に展示されたエーダイグリップのV-2号ロケットセットです(笑)
―――― サテ皆さん、実は他にもV-2号ロケットのミニスケールキットがあったのをご存じでしょうか?
これはレベルが発売していたものです。
僕が持っているのは1982年頃にレベルが「ヒストリーメイカーズ」というシリーズ名で古いキットを再販したときのものですので、さほど珍しいものではないのですが、中身は恐らく1960年代に発売されたV-2号ロケットそのままのはずです。
中身はエーダイのものに負けず劣らず。
古いキットなのに精緻な部品がいっぱいセットされています。
スケールは1/54と書かれていますが、実際はもっと小さくて実寸は恐らく1/70前後ではないかと思います。
レベルのキットの特徴は、ロケット本体とキャリア(発射台)がセットされている他に、ロケットの内部構造が再現されていることです。
キット完成後もロケット本体の左右をパカッと開けて、中の様子を見ることが出来ます。
一種の「教材」としての役割も持てる、非常に優れたキットです。
キットには地上整備員らしいフィギュアが3体入っています。
そのうちの1人は、整った髪型でシャツにネクタイ姿、片手に重要書類らしきものを持った紳士。
これは、若き日のフォン・ブラウン博士をモデルにしているのでしょうか。
そう考えると実に楽しいキットです。
2010-04-14 00:12
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