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アオシマ(日本) タイガーキャプテン (1968年初版) [SF・キャラクターモデル]

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AOSHIMA Sci-Fi Machine TIGER CAPTAIN
※画像の箱絵は1970年代の再販版です。


アオシマ(青島模型教材社)というメーカーさんは、現在は自動車、航空機、艦船そして各種キャラクター製品など、どの分野に於いても一級品のキットをリリースし続ける立派なブランドの風格がありますが、昔のプラモデルファンにとっては「厳密な再現が要求されるスケールモデルには少し弱いが、子供向けの玩具的なキットのラインナップは豊富で手頃に買える」といった印象が強かったのではないでしょうか。

また他のメーカーが複雑なギヤボックスや複数のスプリング、カムなどを使った機械的なギミックに熱心だったのに対して、アオシマはあくまでプラ部品の組み合わせで「合体・分離ギミックによる形態の変化」にご執心だったように思います。
この路線は後にはアニメやテレビ特撮番組のキャラクターを題材に使った合体メカのシリーズや、アオシマオリジナルの「合体巨艦ヤマト 」などを打ち出していき独自の道を歩み始めますが、1970年代の子供たちは、そのあまりにもオモチャオモチャした風体に拒絶反応を起こすか、または「色鮮やかでにぎやかなプラモデル」として無邪気に楽しむか、極端に嗜好が別れたように思います。

そんななか、アオシマとしてもかなり豪華なオリジナル商品として1968年に発売されたのが、このタイガーキャプテンです。

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僕自身がこのキットの大きな特徴として捉えているのは、商品名そのものです。
他社のオリジナルSFモデルの場合、たいていナントカタイガーとかナニソレキングといったコードネームの前に、「地底探検ミサイル戦車」とか「原子力空中戦艦」とか……なんとなくそれっぽい「機種の類別」が書かれていて、少しでも説得力を高めようとしているわけですが、このキットの場合、書かれているのはそのものずばり「タイガーキャプテン」という名前のみで、これは初版の箱も同じです。
つまり、それがどんな組織に所属していて、どのような場所で何に使われるものなのか、一切説明がなされていないのです。
ユーザーである子供たちをある意味では突き放しているかのような姿勢とも感じられますが、実際にはそれとは逆で、そもそもが架空の存在なのだから、あまりコッチ側で用途を限定せず、作った子供たちの発想で自由に楽しんで欲しい……そんな子供たちの独創性を尊重したいという思いがあったのではないか、とも考えてしまうのです。


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このキットは、誰だったかなぁ……幼い頃に親戚のオバチャンだったか当時うちの診療所に勤めていた看護婦さんだったかに何かのお土産で買ってもらったと思います。

正直、もらったときは、どうすればいいかわからなかった。
複雑な心境なのです。
ものすごーく子供扱いされたような気分。
実際、正真正銘の子供だったわけですが。
そしてその反面、なんだか「すごーくボクの気持ちをワカッテいるお土産をもらって嬉しい」気分。

その大いなる葛藤。

子供向けのテレビ番組に出て来そうな大胆なデザインと色彩。
しかも、先っぽには「キャプテンスカーレット」の戦闘車みたいのがくっついていて、上には戦車の砲塔がデンと載っかっている。

センシャやヒコーキのプラモデルを作り始めて、ちょっとオマセになった気分でいる自分は、

「なんだよぅ、これぢゃ子供のオモチャじゃないかよぅ。僕はコンバットに出てくるような戦車が欲しかったよぉう」

……と思いつつ、しかしその反面、

「ちょっとコレ、かっこいくね?」

……と、勇壮な箱絵に惹かれている自分もいるわけです(笑)

結局、自分では作れませんでした。
知り合いのオニイチャンに作ってもらいました。
よりによってこのアイテムをオニイチャンに作ってもらうというのがまた恥ずかしかった。
そして出来上がったタイガーキャプテンの堂々たるシルエットを眺めたときは、本当に嬉しかった。

そんな思い出の残っているアイテムです。



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当時はあまり「版権」というものに対してうるさくなかったのでしょうか。
スプリング発射・分離して単独走行できる先端部分の軽車両は「キャプテンスカーレット」の追跡戦闘車を半分にちょん切った形そのもの。
砲塔はおそらく1/50スケール程度のイギリス戦車チーフテンの砲塔。
「キャプテンスカーレット」は「サンダーバード」の流れを汲むセンチュリー21プロダクションいわゆるジェリー・アンダーソンの人気特撮ドラマで、当時のイギリス陸軍新鋭戦車であるチーフテンはこの頃 多数のメーカーがプラモデルを発売していました。
……つまり、子供が格好良いと思う要素をパズルのように組み合わせて出来上がったのが、このタイガーキャプテンなのでしょう。

そこにアオシマは独自のセンスを加えています。
たいてい戦車の足回りというのはスプロケットホィール(起動輪)とアイドラーホィール(誘導輪)そしてロードホィール(転輪)が逆台形にレイアウトされていますが、タイガーキャプテンのそれは思い切りの良い三角形をなしており、お尻をキュッと上げたような印象のスタイルに仕上がります。
それに合わせてフェンダーを傾斜させて取り付けるなど、建機にも似た形態を採り入れることによって、よりSFチックな雰囲気を醸し出しています。


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……ちょっとツギハギな感じはするけど、何故だか重量感満点で特撮映画のメカみたいな魅力のあるタイガーキャプテン。

僕はふだん戦車や装甲車などのAFVモデルを好んで作りますが、そういった分野で培ったノウハウを生かして、もしかしたら今だったらすごくカッコヨク作れるんじゃないかなぁ。
そんなことを夢想させてくれる大作SFキットです。


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