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フジミ(日本)1/100 バチスカーフ (1967年初版) [艦船モデル]

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FUJIMI 1/100 Bathyscaph

バチスカーフはスイスの物理学者オーギュスト・ピカール氏によって設計開発された深海潜水艇です。
1960年、マリアナ海溝の水深36,813フィート(10,916メートル)チャレンジャー海淵の探査に成功して注目を集めました。
なお「バチスカーフ」とはこの潜水艇の固有名詞ではなく、ギリシア語の"bathys"(深い)と"skaphos"(船舶)をミックスして"bathyscaphe"と発音させる合成語で、深海探査用潜水艇そのものを指す言葉なのだそうです。


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バチスカーフといえば昔は少年向けの画報や図鑑には必ず載っていたお馴染みの潜水艇で、子供たちは誰でもその単語を知っていました。

潜水艦のプラモデルは夏の水遊びの定番アイテムでしたが、たいていの子供たちは勇壮なイ号潜水艦やUボートのプラモデル、はたまた映画『日本沈没』に登場した深海潜水艇「わだつみ」や「ケルマディック」を買って喜んでいました。
あの頃……図鑑に載っているバチスカーフもプラモが売っていればいいのになぁ!と思っていましたが、田舎の少年だった僕が知らなかっただけで、フジミがちゃあんと製品化してくれていたんですね!


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至ってシンプルな構成で、これだったら当時の子供たちは誰でも作ることが出来たでしょう。
気軽に遊ぶための耐久性とスケールモデルとしての繊細さを併せ持ったキットのように思えます。

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塗装などしない子供たちのために、実物のカラーリングに合わせて黄色と赤のプラ成形色で出来ていて、そのままではちょっとオモチャっぽく見えますが、実際にはかなり細かい部分まで再現されており、表面のモールドもスケール相応の雰囲気にまとめられています。
ちょっと凝ったオトナが細かく塗装すると、かなり良い仕上がりを見せるはずです。

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特徴的な居住区画部分もなかなかそれらしく再現されています。
一般的な潜水艦のイメージでいえば上部がメインの居住区画のように思えますが、そこはバラストタンクとガソリンタンクになっていて、人間は下部に懸架されているこの小さな潜水球部分に乗るわけです。


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完成時の姿がわかる組み立て説明書のイラスト。抜粋です。
水中モーターを取り付けての航行もできるようになっていました。

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このキットの目玉。潜水ギミックの説明です。
すぅーっと水底まで潜り、アームが底に接触すると潜水球のロックが外れて本体が浮上するようになっています。
池や河で遊ぶのはチョット危なそうですが、お風呂で楽しむぶんには最高ですネ!

フジミの「海底大作戦 探検艇シリーズ」にはこのバチスカーフの他に、よみうり号、 トリエステ、 アルビン号があったそうです。いずれも1967年に発売されています。

水で遊べるプラモデルであり、教材でもあり……こういう製品は現代では姿を消し、一部にマイクロモーターを内蔵してお風呂や水槽で遊べる小型ラジコン艇が売られている程度になってしまいました。
しかし、やはり自分の手で頑張って作ったものが図鑑に載っている本物のように仕上がり、そして遊べる……これは子供にとっては本当に楽しいし、そしてその経験は大人になっても想い出として残ると思うのです。
そろそろこういうキットがまた見直されてもよい時期にきているのではないでしょうか。


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東京マルイ(日本) 銛突き漁船 (1981年初版) [艦船モデル]

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TokyoMarui 1/72(?) Fishing boat with Micro Boiler
 
ひと味違うプラキットの得意な東京マルイの漁船です。
一般的なプラモデルというよりも教材……教育玩具的な側面も併せ持っています。


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20年ほど前、小型漁船のプラモデルを探し回っていた時期がありました。
故・吉村 昭氏の戦争文学小説「背中の勲章」を読んだのがきっかけとなって、戦時中に日本海軍が徴用した小型漁船を改装して運用したという「特設監視艇」に興味を持ち、ぜひ模型で作ってみたいと思ったのです。
そのときに改造ベースとなるキットとして目を付けて探していたのが、この東京マルイのキットでした。
高校時代に店頭で見かけたことがあり、もしや今でも販売されているのではないか……と探したのですが、結局そのときは手に入りませんでした。
もしかすると比較的短命で終わったキットなのかも知れません。


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とにかく面白い“仕掛け”の入っているキットです。
綺麗なブリスターパックの中には、不思議な金属部品と蝋燭が入っています。
これが何かというと……。

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なんと超小型のボイラーエンジンなのでした。
東京マルイは「ヒートパワーエンジン」と名付けています。
ボイラー内の水を蝋燭で温めて噴出させ、ウォータージェットの要領で推進力を得るというものです。
小さな小さなボイラーなので、さほどスピードは出なかったでしょうが、それでものどかに水面を進む可愛らしい船体が見たくなります。


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船体そのものもよく出来ています。
スケール表示はありませんが、付属のフィギュアやモールドの具合から見て1/72程度だと思われます。
僕は漁船に詳しくありませんが、45フィート、12トンくらいのフネということでしょうか。
このあたりは機会があれば漁船にお詳しい方にご意見を伺いたいものです。

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キャビン部分、甲板をはじめとしてモールドも端正で、メリハリも効いています。
これは塗装も楽しそうです。

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付属のアクセサリー。
3人の漁師さんも楽しいですが、船上の生け簀に入れるための魚たちまで付属しているのがイイです。
カジキマグロに混じって小型のサメもいます。
組み立て説明書には「図鑑などを見て色を塗ってください」との注意書きがあります。 

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付属のシール。水に弱いデカールではなく、本当にシールです。
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「走らせる場合は旗を燃やさないように注意しましょう」の一文に思わず微笑んでしまいます。
船内でトロトロと灯っている小さな蝋燭で旗のシールが燃えるのも心配ですが、それよりもすべてプラスチック部品で出来ている船体と風にあおられた炎が触れてクニャッと溶けてしまわないか、そちらも心配になってきます。
でも、子供たちも作るであろう製品ですし、東京マルイとしても設計には充分に注意してテストもおこなっていることでしょうし、きっと大丈夫なんだろうと思います。

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この蝋燭で航行するヒートパワーシリーズには「漁船シリーズ」と「ボートシリーズ」があったようです。
「かつお竿釣り漁船」はこの銛突き漁船と違う形なのかな?カツオのアクセサリー部品が付いているのかな?……なんて想像すると楽しくなりますね!

金属製ボイラーを含む部品構成からしても、もう再販は難しいのかも知れませんが、こんなに楽しいキットですから、ぜひまた販売して欲しいと思っています。


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ユニオン(日本)高速魚雷艇PT-104 (ミドリ初版1965年・スケール不詳) [艦船モデル]

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UNION(MIDORI) Sci-Fi PT-104


いつもは、どこに隠れているんだろう?
ほとんど見かけないのに、夏になると模型屋や雑貨屋の棚に並び始める、モーターで走る船の模型たち……。
そんな「夏休みの友達・船のプラモデル」の中でも、小柄でスマートな船体に勇ましい魚雷や機関砲を所狭しと積み込んだ“魚雷艇”PTボート(パトロール・トーピドー)は、僕の大のお気に入りでした。

このキットは、元々ミドリ(緑商会)が1965年に発売、その後70年代前半頃にユニオンから再販されたものです。
日模の「キングシャーク」の項で、昔の国産プラモデルメーカーは自社で独自に創造したオリジナルのSFメカのプラモデルをこぞって発売していたことに触れましたが、実はこの魚雷艇、実在しない船または実在する船を参考にしながらミドリがオリジナルでクリエイトした、一種のSFメカなのです。
あの当時、魚雷艇が登場して活躍する映画がいろいろあり、各プラモデルメーカーも競うように魚雷艇のキットを販売していましたが、そんな流れの中で生み出された、まさに「異色作」です。

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それにしても……この精悍なフォルムとリアリティはどうでしょう!
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子供向けのトイキットであるため、鮮やかなレモンイエローのプラで成形されていますが、甲板上の起伏に富んだモールドや端正に整形されたキャビンとそこに並ぶ窓など、船に詳しくない人が見たら、絶対に「実在する何らかの船だろう」と思ってしまうような説得力がありますね!
ダークシーグレイとかガルグレイとか……そんなリアルな色で、思い切り塗装に腕を振るってみたくなります。


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細かい艤装のための部品も良くできています。
救命ボートの中には、2本のオールまでモールドされています。
魚雷発射管は勿論のこと、レーダーや対空ミサイル、サーチライトなどなど、魚雷艇を再現するのに必要と思われる部品は全部そろっていますね。


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別に買ってこなくても、モーターが付属していて定価¥400……70年代当時の子供には嬉しいサービスです。
そして防水用グリスのチューブ。これは懐かしい!

旧ミドリの魚雷艇シリーズには、この他にも、やはりリアルな形態の「ミサイル魚雷艇PT-707」スピードボートレース用の船体に翼とミサイルを付けたような「SF高速艇“銀河”」パトロール艇の上に戦車の砲塔を載せたような
「SF高速艇ブルーホーネット」がありました。どれも船体部品は共通です。

今の子供達は、こういうアイテムでは喜んでくれないのかなぁ?

こんなキットの部品を眺めていると、プールや池などで小さな、そして勇ましい魚雷艇で遊んだ少年時代が懐かしく思い出されます。

このコンテンツ執筆にあたっては、キットの素性調査の面で「プラモデルの王国」の高見敬一郎氏に多大なるご協力を賜りました。
この場をお借りして心よりお礼申し上げます。

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シャープ(日本)  フロリダタッグ (1970年代中盤・スケール不詳) [艦船モデル]

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SHARP Tugboat “Florida”


今はなきシャープが発売していた「夏休みの友達」……タグボートの可愛らしいキットです。
※未確認ですが、1966年に三共が発売した「引船 タッグボート」の金型を受け継いでの再販かも知れません。

夏休みシーズンになると、模型屋さんはもちろんのこと、雑貨屋さんや文房具屋さんの店頭にも船の模型やオモチャが並ぶようになり、ひとつの風物のようになっていたのを覚えていらっしゃる方も多いでしょう。
たいていの子供達は勇ましい軍艦やいかにも速そうなレース艇、モーターボートのプラモデルを買って作ってましたが、そんな中、いろいろと欲しいキットを探していて、まるで森で珍しい昆虫を見つけたかのような気分にさせてくれたのが、タグボートなどの「働くフネ」のキットだったように思います。

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シャープは「海の案内船タッグボートシリーズ」と題して、2隻のタグボートを発売していました。
華やかな南国風味のカラーリングが施され、爽やかな箱絵でまとめられた「フロリダ・タッグ」と、初代原子力空母“エンタープライズ”と思われる巨大な艦船を背景に勤務中の堅実な風情を持つ箱絵があしらわれた「オーシャン・タッグ」。
箱絵とシール(デカールではありません)そしてプラ成形色は両者で異なりますが、金型はまったく同一のものです。


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日本ではあまり馴染みがありませんが、海外ではこのタグボートのような港湾施設で逞しく働く船たちは人気があり、さまざまな模型や玩具も発売されています。
ファンクラブなども存在するようです。
もしかするとシャープは、輸出を念頭においてこのキットをリリースしたのかも知れませんネ。


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一体成形の船体は18センチほど。
手すりや煙突も細かく再現され、接岸時に使う緩衝材や舷側にぶら下げる古タイヤなどの部品も用意されています。

……日本ではタグボートの精密キットが最後に発売されたのは、80年代初めのイマイ製「シュミット・ネダーランド」あたりということになるでしょうか。
あのキットも、どちらかといえば輸出を前提にした海外の愛好者向けだったように思います。

日本でも、軍艦や豪華客船だけでなく、こうした「働き者」の船のキットにももっと注目が集まれば、模型趣味の世界も今以上に、そして飛躍的に豊かになるかも知れません。
そんなことを感じさせてくれる、愛らしいキットです。

レベル(アメリカ)1/112? スパイ船 “ボルガ” (1970年初版) [艦船モデル]

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Revell Spy ship Volga


全長30センチほどの旧ソ連船籍漁船ボルガ号。

物好きもいいとこで、僕はこのプラモデルを今までに都合2個買っています。
何に惹かれたのか自分でもよくわかりませんが、何しろ中学生の頃、この箱絵を店頭で見たときのインパクトはかなりのものでした。漁船といいながら、何かしらミステリアスで、正体不明といった面白さがありました。

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そうです。この船は、北方での遠洋漁業に使われるトロール漁船を装いながらも、その正体は旧ソ連軍情報部に所属してスパイ活動を展開する「情報収集船」なんです!

今で言うならば「不審船」。
2009年に入ってアオシマが1/700スケールで「海上自衛隊 ミサイル艇 おおたか しらたか」のキットを発売。これにオマケとして小さな小さな「不審船」 が含まれますが(笑)
それでも世界広しといえど、不審船を正真正銘の主役に据えたプラモデルを発売したメーカーなんて、今のところレベルだけではないでしょうか。

ちなみにこのキット、2個買った……と書きましたが、もうひとつは88年頃にパカパカと組み立てて、当時仲間たちと撮っていた自主製作8ミリ特撮映画のミニチュアに使用しました。
自主映画『目覚めよと呼ぶ声あり』の湾岸コンビナート地帯のシーンです。
あの港には、スパイ船が係留されていたんですね(笑)

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社会情勢やその歴史に疎い僕には、こんな船が実在したのかどうか、わかりません。
しかしレベルの説明書には「米海軍の水中発射型巡航ミサイル“ポセイドン”の初の発射テストがこの漁船に妨害されている。射出されたミサイルの保護用耐水性素材の破片をロシア船が奪取しようとした」……といった趣旨の解説が掲載されています。


もういちど、箱絵をじっくり見てみましょう。

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ボックストップに踊る“SPY”の文字。
鉛のような海。
赤とオレンジを塗りたくったような空を乱舞する鳥影。
薄汚れた船体。
舷側に描かれた船員は少しうつむき加減で、ただの「影」としてしか描かれていない……ムード満点ではありませんか。


箱の側面には、キット内容の紹介として「2Russian Spy crew figures in fishermen 's slickers」の 一行が……。

どれだ? 
どれが「らっしゃんすぱい」ナノダ? とパーツをよく見ると……

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あーっ、いるし!
身長10ミリほどの「寒い国から来たスパイ」が二人、着ぶくれしたスタイルでランナーにチョコンとくっついています。

プラモデルは「歴史を写す鏡」でもあると思っています。
冷戦時代には、普通に暮らしている人々が知り得ない水面下での熾烈な戦いが展開されていたのでしょう。
そんなところにまで目を付けて面白いアイテムを発売するプラモデルメーカーのバイタリティーに、ただただ脱帽するばかりです。

ちなみにこのキット、現在では箱絵や組み立て説明書を変えて、ごく普通の漁船のプラモデルとして発売されています。
冷戦構造の崩壊した今、キットも「平和な船」に生まれ変わっているのですね。


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