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アダムズ(アメリカ)1/40 M40 自走155ミリ加農砲 (1957年初版) [AFVモデル]

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ADAMS1/40 M40 155mm SELF-PROPELLED GUN


第二次大戦末期のヨーロッパ戦線に登場して後の朝鮮戦争でも活躍した自走155ミリ砲M40の精密キットです。
終戦間際に登場したこと、HVSS(水平ボリュートスプリング式サスペンション)を装備していること、またビジョンブロック付きキューポラなど後期型のシャーマン戦車に採用された特徴的な部品が使われていることなどから、シャーマン戦車の最終形態であるM4A3E8イージーエイトをベースに開発された自走砲だと思われがちですが、実際にはコンチネンタルエンジン搭載のM4シャーマンをベースに車格を拡張して造られた信頼性の高い自走砲で「第二次大戦中に開発されたものの中では最良の自走カノン砲だった」とする資料もあります。


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1950年代後半に登場したアダムズの1/40ミリタリーモデルはすぐにスナップ社へと受け継がれ、日本では1960年代にマルサン商会が輸入して「マルサンスナップ」の商標でお馴染みだったようです。
1970年代初頭まではライフライク社が金型を受け継いで販売していましたが、現在ではさすがに見かけなくなりました(それぞれSNAP1/40 LIFELIKE1/40とメーカー表記されています)。

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アダムズ由来の1/40ミリタリーモデルには、どれも印象的なニックネームが付けられていて、ときにはそれが商品名になっていることもありましたが、このM40自走砲には155ミリ砲の壮大な攻撃力に似合わない“CHOO CHOO BABY(汽車ポッポあかちゃん)”という可愛らしいニックネームが与えられています(スラングでは別の意味合いもありそうですが、ここでは触れません)。


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このキットも50余年前の骨董品で、登場時期が早かったことと品質が高かったこともあり国内外の各模型メーカーから手本とされたり模倣されたりしました。

M40自走砲というと日本では“BIG SHOT(ビッグショット)”という名前でお馴染みですが、実車のM40には特定のコードネームはありません。
これはタミヤが1963年に発売した1/21スケールのデラックスキットの商品名が「ビッグショット」だったからで、恐らくタミヤもこの1/21キット発売に関してはアダムズ1/40キットを先発の高品質キットとして参考にしたこともあったのではないかと思いますが、その後に登場した各社のキットは今度はタミヤ1/21を模倣することが多く、商品名にも堂々とタミヤと同じ「ビッグショット」を使っています。
21世紀に入って台湾のAFVクラブがようやくM40の1/35キットを発売しましたが、これまたタミヤ製品へのオマージュでしょうか、ビッグショットという商品名がわざわざ付けられています。

たしかにビッグショットとは強力な巨砲を搭載する無骨な自走砲にうってつけの商品名ですが、これは大戦中にM40自走砲の生産メーカーだったプレッシド・スティール・カー社の敷地内にあるテスト場で撮られたと思われる試作型T83の記録写真を参考にしたからでしょう。
写真に写っているテスト用車両には“BIG SHOT”という固有のニックネームが大きく書き込まれていました。

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1960年代~1970年代にかけてはタミヤ1/21、ロコHO(1/87)、マッチボックス1/76、そしてタミヤのビッグショット経由でミツワ1/48などなど……様々なプラモデルや玩具、ミニカーに影響を与えたと思われるアダムズのM40ですが、第二次大戦末期から朝鮮戦争にかけて実戦に参加したという実車の経歴、そしてそのマッシブなスタイルなど非常に魅力的なアイテムであるにも関わらず、1980年代以降は現代的設計センスで作られたスタンダードスケールのキットが発売されなかったのが驚きです。AFVクラブのキットが登場するまで、実に30年以上の空白期間があります。

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アダムズのキットは総じて、全体的に緻密で彫りの深いモールドがなされており、組み立てている最中も仕上げの塗装でどんな調子になるかがとても楽しみになります。
このM40では各種車外装備品の綺麗な再現の他、オイル注入口キャップには極小の鎖までモールドされている凝りようです。
またシャーマン戦車とそのバリエイションモデルを模型化する場合、昔のキットではモーターライズ仕様が一般的だったためシャーマンの特徴的な部位のひとつであるフロントデファレンシャルカバーの形状が内蔵するギヤボックスの影響で実車と異なるブサイクな形になってしまうことが多かったのですが、アダムズのM40は完全ディスプレイキットとして設計されているのでフロントデファレンシャルカバーは実車と同じ形状をきちんと再現しており、たいへん好感が持てます。

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巨大な155ミリ砲を支えるガンマウント下部は完成するとあまり見えませんが、それでも少し傾斜を持たせてセッティングされている本車の特徴がきちんと表現されています。


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米軍機械化砲兵のフィギュアたち。
生き生きした動きが表現され、それぞれのキャラクターづけまでなされているように見えて楽しくなってきます。


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組み立て説明書の実車解説に添えられたイラスト。
ヨーロッパ戦線に始めてM40が出現した際に参加した“コローネの戦い”の様子を再現しているようですが、実物の写真や資料が手に入りにくかった当時、こういったイラストはディオラマ作りのための良いアイデアソースとなったのではないでしょうか。

1/40というと現在では馴染みの薄いスケールに思えますが、あまりトレンドにこだわらずにそれぞれのスケールレンジで楽しむのもオツなもののように思います。
アダムズ・スナップ、そしてレベルなどの1/40モデルを揃えれば、それだけでもかなり豊かな世界観が展開できるので、いつかは現代の製品群とはひと味違ったラインナップをズラリと作り揃えて楽しんでみたいものです。

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