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アダムズ(アメリカ)1/40 ホーク ミサイル バッテリー (1958年初版) [AFVモデル]

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ADAMS 1/40 “HAWK” MISSILE BATTERY


“ホーク”は1950年代後半から開発が始まり1960年代より広く使われた地対空誘導弾で、陸上自衛隊・高射特科部隊でも改良を重ねながら使い続けられ、先の湾岸戦争でもニュース映像に登場した長寿でポピュラーなミサイルシステムです。
運営システム自体は模型化した場合の見栄えがいいし、また新鋭兵器としてマスコミで採り上げられたためか、一時は各社から製品化されていました。

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興味深いのは、1958年にアダムズとレベルが個別に1/40キットを発売して、同じスケールで同じアイテムが2社によってバッティングしてしまいましたが、様々な資料で時系列を検証してみると、この当時すなわち1950年代末にはホークミサイルはまだ運用試験段階であり、実際に部隊配備されたのは1960年代になってからとのことで、アダムズやレベルが「西側期待の新鋭兵器」としてずいぶん早々とホークミサイルの製品化に取り組んだことがわかります。


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アダムズのキットはすぐにスナップに受け継がれ、1970年代初期までライフライクからも販売されていましたが、それとは別に日本国内ではクラウンモデルなど数社がこれらアダムズ由来の1/40キットの模倣品を販売しており、ベテランモデラーの中には見かけたことのある方も多いかと思います。


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クラウンからはアダムズ製(スナップのブランドで日本に輸入されていました)のジープ、ホークミサイル、M20装甲車、120ミリ高射砲などが模倣され、後には売れ行きを考えたのか一部の製品が1/35スケール表示になって店頭に並んでいた時期もありました。

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僕も中学生の頃、老舗の模型屋さんでクラウンのホークとM20装甲車を見つけて「こんなキットがあったのか!」と驚き、価格も確か300円かそこらだったので喜んで買って帰ったものの、M20を手許にあったタミヤ1/35の旧モーターライズ版M8グレイハウンド装甲車と比べると車体などの主要部品が一回り以上小さく、実寸は1/35ではないことに気づいてひどくガッカリした経験があります(笑)

……このクラウンのキットとの出会い、そして1970年代~80年代初期にかけて専門誌で紹介されていた大塚康生 先生の模型コレクション紹介記事によって往年の1/40スケールミリタリー輸入キットに注目し始め、オリジナル版のホークミサイルやM20装甲車、オネストジョンが欲しいと思うようになり、僕は骨董品キット探しの長い旅に発ったのでした(笑)


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参考までに、アダムズ製品現役の頃、組み立て説明書に掲載されていたカタログもご紹介しておきましょう。
これらの多くが様々な後発キットの手本となったり模倣されたりしている、ミリタリーモデル界のご先祖様的ラインナップです。



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アダムズのキットはミサイル本体とミサイルランチャーの他に、ミサイル運搬・装填用のクローラ式ローダーXM-501とレーダー・コンポーネンツ、整備員のフィギュアまで付属した豪華版で、このキットをひとつ買ってくるだけで米陸軍対空ミサイル部隊の攻撃準備状況が机上に再現出来ます。
後には各社から様々な戦場のシチュエイションを再現した「ジオラマセット」キットが発売されましたが、このホークミサイルバッテリーはベース(地面)部品こそ含まれていないものの、ジオラマ系製品の走りとも言えるのではないかと思います。

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小型で愛らしいXM-501は老舗FMC社の製品で、ジープ史上最高の名車と名高いウィリスMD(M38A1)“ブルドッグ”ジープのパワートレインが使われているそうです。
キットではこの小さな車体を丁寧に再現しており、楽しくなります。

ちなみにクローラ式車体に勇ましいミサイルを3本も背負った姿から、この車体から直接ミサイルを発射する……つまりXM-501は攻撃用の車両だと勘違いした人も多く、恐らく模倣品を発売したクラウンもそう思い込んでいたのではないかと推測されます。
実際には先にも述べたように、ミサイル発射装置(ランチャー)まで予備のミサイルを運搬し、装填するための支援機材です。

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お馴染みの一体成形ながらポージングやモールドが秀逸なフィギュアたち。
少しリラックスした雰囲気でホークミサイルシステムの設営に携わっている人々の姿が活写されています。




―――― ところで、ライフライク版特有のあっさりした味付けのパッケージをシケシゲとながめていると……思わぬものを発見してしまいました。


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絵の片隅に小さく「亜樹」という文字が読めます。

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これは、どう見ても東洋人の名前ではナカローカ? 
しかも響きが日本人名に思えます。
ライフライクのパッケージアーティストは日本人だったのでしょうか? 
タッチや色使いが同社のロングトムなどとは似通っていますが、M40自走砲やオネストジョン、L.V.T(A)5は明らかに別人のタッチです。
何人かのイラストレーターが分担して手がけていたのでしょうが、後になって同社のカーモデル(パイロ社製1/32を受け継いだもの)のパッケージにも「亜樹」の署名を発見することが出来ました。
亜樹サン、ライフライクの秘蔵っ子だったのかな?

……こんなことをあれこれと推理するのも、古いキットの楽しみ方のひとつではないでしょうか。

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