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日東科学(日本)1/24  トヨタS800 クリスタル (1982年初版) [自動車モデル]

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NITTO1/24 TOYOTA S800 Crystal Version


日東科学が放ったトヨタS800いわゆる“ヨタハチ”の本格的1/24スケールキットです。
日東の自動車モデルといえば1/32クラスの100円ゼンマイカー、一世を風靡して豊富なラインナップを誇った1/28及び1/24の「サーキットの狼」シリーズやFF走行の1/24軽自動車、1/12国産バイクなどが記憶に残っていますが、そんな中でも1980年代に入るやいなやリリースされた「1/24名車シリーズ」のホンダS800、トヨタS800、日産SR311は日東のカーモデルの集大成ともいえるこだわりの品で、プロポーションの良さと精密感を併せ持つ安定した品質で多くのファンの支持を得ました。

その2年後に登場したのが「1/24名車シリーズ」の3車種の主要部品を美麗なクリアパーツ(透明部品)に改めた
「1/24クリスタルモデルシリーズ」でした。

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……僕はこのうちトヨタS800、日産SR311を所有していますが、正直さほど古い品というわけでもなく、あらたまってご紹介せねば、と言うほどの稀少な品ではありません。
今でも模型店の片隅で売れ残りを見つけたり、中古品店でも普通の価格で買える品だと思います。

ただ個人的にたいへん想い出に残っているキットなので、ちょっとだけご紹介させていただくことにしました。
しばしお付き合いくださいませ。



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1960年代のプラモデルにリアルタイムで親しんだ経験のあるベテランモデラーの皆さんからすれば、往年の名作モノグラム1/32「P-51ファントムマスタング」の影響で当時各社から連発された透明部品多用のクリアモデルは懐かしくもあり、また今となっては少しばかり古風な意匠と感じられるかも知れませんが、1965年生まれでこのキットの発売当時は高校生だった僕にとって、主要部品のほとんどが透明部品というこの“ヨタハチ”はとても新鮮に感じられ、店頭で見つけたときにはモワァ~ッと妄想が脳内を駆け巡ったものでした。

このキットをうまく仕上げれば、よく自動車図鑑や自動車メーカーのカタログに載っていた、車体が半分透けて内部のエンジンやサスペンションが見えるように描かれている透視図……ああいうものが立体で作れると思ったのです。
そこでボディの左半分は綺麗に塗装して、右半分との境目はエアブラシ塗装による美しいグラデーションによって透明となり、内装品やエンジンまでが見える……という趣向の、ちょっと大人びた仕上げにチャレンジしました。


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……結論から言えば、僕はこのキットを買うために店頭で支払った800円をムダにしてしまい、ずいぶんと落ち込むことになったのですが(笑)

当時の僕の技量ではエアブラシ塗装で「真っ赤に塗装されたボディ左側から、キラキラの透明に変わるボディ右側への境界線の美しいボカシ処理」はまったく無理で、透明サイドにまで塗料の飛沫が飛び散って見苦しいことになりました。
またそれ以前の問題として……これは透明部品の多いプラモデルを作ったことのある方ならおわかりでしょうが……透明部品というのは、ほんの少し接着剤がはみ出ただけでダイナシになってしまうシロモノで、場合によっては少し多めに接着剤を塗ってしまった部分の周辺まで白濁してしまい、修正がまったく不可能になってしまうのです。

その結果、とても他人様にお見せできるような完成品にならず、さっさとボディ全体を真っ赤に塗りつぶして、普通のプラモデル完成品にしてしまいました。

これがけっこうトラウマになっていて、この歳になってもプラモデルの透明部品を扱うときは、例え小さなジープのフロントウィンドのようなただの透明の板のような部品であっても、少々緊張してしまいます。

……あれから幾年月。
いつかはリベンジしてみたいと思い、新たに買い求めたこのキットを今も手許に置いています。


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昔はミュージックカセットテープ、今ならCD……たいてい透明のプラスチック製ケースに入っていましたが、買ったばかりの新品の頃はすごく高級感があったのに、少しでもキズが付いたりホコリを被ってしまうと、途端になんだか安っぽく見えてしまう……そんな経験、ありませんか?
クリアボディのプラモデルというのもまったく同じで、その部品の美しい透明度イコールそのモデルの存在価値と言えるほどで、取り扱いにはひどく気を使ってしまいます。
とくにこのヨタハチは透明のボディと、やはり美しく成形されたメッキ部品のコントラストが“命”ともいえるキットで、こうして部品を眺めているだけでも、作るときのことを想像してチョット緊張してしまいます。


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ボディはブリスターパックされて箱に収められています。
この当時の1/24クラスの自動車キットではモーターライズ走行するのが一般的で、日東もこのキット以前はゼンマイやモーターで走るキットを数多くリリースしていましたが、このキットでは思い切りよく走行機構を廃して、エンジンの再現などに力を入れています。
ブリスターパックの底に印刷されているのは組み立てられたエンジン部分の写真です。


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組み立て説明書からの抜粋。
エンジン部分は後の工程で「伸ばしランナー」を使って各種のパイプ配管の追加工作を奨めています。
また付属の薄いシートと部品を使ってシートベルトも実車通りに再現するなど、小柄とはいえ相当本格的なキットであることがわかります。

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ボディをブリスターパックから取り出して撮ってみました。
非常に美しい成形に感嘆してしまいます。

自動車のプラモデルを作るのは難しいなぁと、つくづく思います。
戦車や戦闘機と違って、例えこのヨタハチのような旧車であっても、現物を街中で見かけるチャンスが多いからです。
ウソをついて適当に作ると、誰が見ても不自然な仕上がりになってしまう。
このキットはそれに加えて部品の美しさをキープしなければならない。
その仕上げの難しさを考えると、僕が持っている国産プラモデルの中でも、これはもっとも難易度の高いもののひとつではないかと思います。


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オダカ(日本)1/35 日立ブルドーザT12 (1970年) [自動車モデル]

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ODK(SANKYOU)1/35 HITACHI T-12 Bulldozer


元は三共製のキットで1965年に初版が発売されています。
1970年になってオダカから再販されたようです。

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オダカでは三共から受け継いだ金型を使って1/35スケールの日立ブルドーザT09とT12を発売していますが、内容はプラ成形色が多少違うだけで同一です。
パッケージはT09は実車写真、T12はイラストになっていますが中身はどちらもT09です。
実車は1960年から生産が開始された優秀な車体とのことです。


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せっかくですから、T09の写真パッケージも大きなサイズで載せておきましょう。
興味深いのは「マニア向けソリッドモデル」という名称が使われている点で、現在の一般的な呼び名である「プラモデル」はマルサン商店が1959年に商標登録をおこない、その後しばらく他のメーカーは使えなくなってしまったということが影響しているのでしょうか。


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僕が幼少時のミニカー集めからプラモデル趣味へと流れてきたことは他でも述べましたが、プラモデルを作り始めて強く感じたのは「プラモメーカーって建機に冷たいなァ」ということでした。
まるで建機や農機はミニカーメーカーに任せとけばいいサ!と言わんばかりで、ブルドーザのプラモデルなんてめったに見かけませんでした。

ところが今から30年ほど昔、当時よく読んでいたホビージャパン誌の「ノルマンディー上陸作戦特集号(1980年9月)」を見たときは驚きました。
巻頭カラーページには上陸作戦中の米軍部隊の様子を模型で再現したディオラマ写真が掲載されていましたが、そこに各種の軍用車両と共にブルドーザのキットが使われているのを発見したのです!

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※画像とHJ誌バックナンバーデータはお友達のニャンチューさんからご提供いただきました。ありがとうございました!


……こんなキットあったっけ??

しばらく首を傾げていましたが、それから何年も経って多少は古いキットについての知識が増し、もしかしてあれは国産の1/35キット、つまり日立T09だったのではないかと思い始めました。
もちろん一般的な民間で使われる車体ですが、この記事のライターさんはこの日立T09を米軍用オリーブドラブで塗装して白い星の国籍マークを付けて軍用に見せていたんですね!

それ以来幾年月……このキットに興味津々で探し回ってようやく見つけたのが、このオダカ再販版の三共1/35ブルドーザです。
ミリタリーモデルとも組み合わせられる貴重な1/35スケールのブルドーザです。今からでもぜひ何処かのメーカーが金型を発掘して再販してほしいと思ってしまいます。


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まるで1950年代のレンウォール製品を思わせる男らしいばかりの太いランナーに部品がガッチリと組み付いており荒々しい感じも受けますが、それでもラジエーターグリルなどの細部はかなりデリケートにモールドされていて、印象を良くしています。


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キャタピラは当時のモーターライズ戦車プラモデルなどと同じゴム製。
今ならばキャタピラ一枚ずつ部品分割されたものを組み立てていく連結式で再現して重量感を演出すべき部分でしょうが、この当時としてはごく一般的な表現だったと思います。


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日立の商標を表現するデカールも付属します。
手描きの感じのイラストが良い味を出しています。
こうして見るとラフな印象を受けますが、丁寧に組み立てると手動ながら大型のアームとアクチュエータでドーザーブレードを上下可動できる精密モデルが完成します。


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組み立て説明書に掲載されている完成見本写真。
粒子が粗いので細部までは確認出来ませんが、なかなか実感のある仕上がりになりそうです。

こういった建機のモデルは、情景写真を撮ったりディオラマを構築する際の良い小道具になります。
なにせ生活感満点のアイテムですから、ちょっとSF的な趣向のディオラマにも置いておくだけでリアリティを持たせられるわけです。
怪獣特撮映画のセットなどを想像すればお解り頂けるでしょう。

……2010年に入ってタミヤが戦中型の国産ブルドーザを1/48で発売しましたが、ぜひ他のメーカーさんもこの方面のアイテムに目を向けて、楽しい使い方の出来る建機のキットをどんどん発売してほしいと願っています。

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マッチボックス(イギリス)1/32 シトロエン11レジェ (1980年) [自動車モデル]

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MATCHBOX1/32 Citroën 11 Legere


1930年代に一世を風靡したシトロエン11を1/32という小さなスケールで丹念に再現した佳作キットです。

僕の場合、幼い頃のミニカー集めが後の模型趣味の“登竜門”になったのですが、その頃からマッチボックスには馴染みがありました。

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当時マッチボックスといえばミニカーの専門メーカーのように思っていました。
国産車を熱心に製品化していたトミカと違って、子供にとっては何処の国の何というクルマなのかもわからないような珍しい車種をいっぱい発売していて、そのカラフルで楽しげなパッケージはどこのデパートのオモチャ売り場でも見つけることが出来ました。
後には1/72航空機や1/76AFVのキットでお世話になることになりますが、そんなマッチボックスのプラモデルのなかでも1/32カーモデルはかなり貴重な存在に思えました。
田舎ではなかなか見かけなかったし、MG TC スポーツや アウトウニオン・タイプD、1928年型パッカードビクトリアなど、他社の出していない車種があったからです。
エアフィックスやモノグラムなども1/32カーモデルで頑張っていましたが、6輪のタイレルP34/2やポルシェ917-10といったサーキットで活躍するクルマたちまでも1/32本格的スケールキットで出してくれたのはマッチボックスくらいではないかと思います。


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そんな中でも、ミリタリーディオラマに使えそうだと思って買っておいたのが、このシトロエン11Cレジェです。

戦時中に軍用としても使われたシトロエン11CVは近年タミヤがミリタリーディオラマに使える1/48と1/35キットを発売しましたが、2ドアの11Cレジェの1/32キットは今でも貴重です。

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思いのほか豪華な内容。
マッチボックスのキットの特徴は今で言うところの「色プラ」風に、ランナーによって成形色をふんだんに変えて塗装しなくてもそこそこ見栄えのする完成品に仕上がるという趣向が加味されていることで、これは航空機キットなどの場合はともすれば逆効果でオモチャっぽく仕上がることもありましたが、自動車の場合はかなり効果的だったように思います。綺麗なプラ成形色とメッキ部品の組み合わせの美麗さはなかなかのものです。
もちろんキチンと細部まで塗装すれば、数倍雰囲気の良い品に仕上がります。

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“レジェ カブリオレ(Legere Cabriolet 1939)”と“レジェ フォー カブリオレ(Legere Faux Cabriolet 1938)”のどちらかを選んで作ることの出来るコンバーチブル。
無理のない部品分割は流石です。
1930年代を舞台にしたノスタルジックなディオラマには良い小道具になりそうです。


―――― 1/32の自動車というと日本では年少者向けイージーキットとしての扱いが普通でしたが、欧米では古くから精密ミニカーの伝統があるからでしょうか、模型メーカーとしても「小さくても精密で存在感のあるキット」として扱っていたようで、現代の目で見ても充実した内容のキットが多く存在するように思います。

マッチボックス社の消滅後、同社製品の多くはドイツ・レベルからパッケージやデカール等の意匠を変えて再販されていますが、ぜひこの秀作1/32カーモデルのシリーズも再販していってほしいと思います。

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リンドバーグ(アメリカ)1/32 1940年型フォード・コンバーチブル [自動車モデル]

※初版は1965年前後のパイロ製(米)。リンドバーグ版は1979年に発売.
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LINDBERG(Pyro)1/32 FORD CONVERTIBLE 1940


なかなかオシャレな箱絵が魅力のリンドバーグ版。
1/32というスケール、そして1940年型という時代背景から、昔はミリタリーディオラマの小道具としても
使われることが多かったキットですが、実は初版はパイロ社の品。
同社の消滅後に金型の一部がリンドに移り、こうして復活したもののようです。

1970年代前半の模型誌に掲載されていた第二次大戦中のディオラマに、ドイツ軍の乗用車として登場していたのを覚えています。
当時は「これは何のキットだろう?」と首を傾げたものです。
大量に生産されて世界中で使われたフォード車ですから、ドイツ軍の戦車と一緒にディオラマ上にレイアウトされていても、不思議と違和感はありませんでした。


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旧パイロ・キットの特徴は、美しい部品成形と驚くほどシンプルな構成。
昔ながらの、ちょっと丈夫で分厚い箱を開けると、鮮やかな成形色の部品がパラッと入っています。


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あまりの部品の少なさに、思わず指でつまんで「仮組み」したくなってしまいます。
しかし……おやおや、現在の自動車キットとは違い、複雑な三次曲面を持つボディは一体成形ではなく四分割。これは接着・成形が大変そうだなぁ……と思ってしまいますが、このあたりの部品のフィットは実に見事で、実際にはスムーズな工作で可愛らしいボディを手に入れることが出来ます。
これがまた、パイロの良いところです。


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サテ、取りぃ出しましたるは往年のレベルの名作。
1/32カーチスP-40“フライングタイガー”。

これはまた不思議なツーショットですが、この2つのキットが揃ったならば……


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こんな映画のワンシーンが再現できるのでした。
昔から、これがやりたかったのデス。
成形色までぴったんこ!
ディオラマにするもよし、模型特撮写真で遊ぶもよし……。

プラモデルって、本当にいろいろな楽しみ方ができますね!

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セントラル模型(日本)1/32 日産サニーエクセレント1400 (1972年初版) [自動車モデル]

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CENTRAL1/32 NISSAN SUNNY EXCELLENT 1400


1960年代後半から70年代前半にかけて少年時代を送った人々で、セントラル模型の名前を知らない方は少ないのではないでしょうか。
積極的にゼンマイカーのプラモデルを作っていなかった方でも、模型屋の棚の隅っこや、雑貨屋、文房具屋の模型売り場に、必ず可愛らしい小さい箱のスポーツカーが置かれていたのを見たことがあるはずです。


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初期の頃には日本グランプリなどで活躍したニッサンR381やマクラーレンなどのレースカーが数多く、そして息も長く発売されていましたが、後には町中でもよく目にするファミリーティーカーやGTカーがいっぱい発売されました。
国産車ではスカイラインハードトップ2000GT、コロナマークII2000GSS、スプリンター1400SRなど。
そして外車ではムスタングマッハI、ポンティアックフアイアバードトランザム、ダッジチャレンジャーラリー、マーキュリークーガーなどなど……他のスケールでもあまり見かけないアイテムが、それこそシリーズの全貌が掴み切れぬくらいいっぱい発売されて子供達を喜ばせていました。

家になんて持ち帰らず、雑貨屋の前の道ばたに部品を広げて製作開始!
完成したら友達の家や学校の廊下でレース開催!

今回はそんな中から、手元に大切に保管してあるサニーエクセレント1400をご紹介します。

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「あっこのクルマ、近所のおじさんが乗ってた!」
「うちの兄貴が初めて買ったクルマだ!」
……なぁんて方もいらっしゃるかと思います。懐かしいですね!

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キット内容も、あぁ昔のプラモデルってこんなだったよねぇ……と、思わず微笑んでしまいそうな可愛らしさです。
こういうキット、また作りたいナァと思っていた1980年代中盤、今はなきエルエスが……恐らく、このセントラルのキットのような、懐かしいゼンマイカーキットへのオマージュだったのではないでしょうか、1/32で懐かしい国産車のプラモデルを発売してくれて、本当に嬉しかったものです。

エルエスのシリーズはその後アリイに受け継がれ、今でも気軽に買うことが出来ます。
これは大変に有り難いことですが……セントラルのキットは消滅したまま。寂しいなぁ……。

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子供向けの低価格帯キットですから、内容的に贅沢は許されなかったのでしょうが、それでも少ない部品で一所懸命に実車の特徴を再現しようとしているのがわかります。
一体成形のフロントグリル。子供の頃はそのまま作ったけど、今だったらヘッドライトをくりぬいて透明レンズをはめ込んで、グリルも削り込んで、綺麗に塗装して……と、夢が広がります。


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「ゼンマイで走るプラモデルはいっぱいあったが、セントラルのやつは優秀だった……」
そうおっしゃるオールドファンの方もいます。
手で巻くゼンマイというもの自体が今では珍しくなってしまいました。


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セントラル1/32カーモデル共通のフォーマット。
エンジン再現とボンネット開閉。
ダッシュボードなど車内も再現。
前輪ステアリング可動。

なんだか、プラモデルの「基本」という気がします。
箱や部品を見ているだけで、タイムスリップしそうな楽しさがありますネ!

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エッシー(イタリア)1/32 ボルボF12.20 “TRACTOR&TIMBERTRAILER” (1983年初版) [自動車モデル]

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ESCI1/32 Volvo F12.20 “TRACTOR&TIMBERTRAILER”


世界中で活躍する老舗ボルボの名車F12トラクタと、材木運搬に使われる7.9メートルフラッドベッド・トレーラのセットです。
キットは80年代初頭のもので、さほど古くはないのですが、内容が大変ユニークですのでご紹介させていただきます。

昔から自動車キットは1/32が大好物!
子供の頃からいろいろなキットを買い漁りましたが、このくらいのスケールになるとマニア向けというより年少者・ビギナー向けという位置づけになるようで、多くのキットは組み立てオモチャ的なものにまとめられていました。
そんな中、欧米のメーカーの製品は例えそれが子供向けの小さな自動車キットであろうとも、決して手を抜いていない……といった印象がありました。

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エッシーも、同じコンセプトのキットをいろいろ発売していた先発モノグラムに刺激されたのか、80年代に子供から大人まで楽しめる大型トラックのキットのリリースを始めました。
少年時代、同社のカタログは手に入れたものの、キットそのものはどこにも売っておらず、欲しくて欲しくて仕方がありませんでした。
何せ、あの当時は国産の1/32トラックのプラモデルといえば「トラック野郎シリーズ」くらいしかなかったのです。

大人になってやっと買えた、エッシーの1/32トラック。
改めて内容を観察すると……いやぁビックリ仰天です!

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まず、この部品の山をご覧ください。
ボルボ特有の堅実でマッシブなフォルムと繊細なディテールを、沢山の部品を組み合わせて再現するようになっていますが……これだけの部品数を誇りながらも、このキットは接着剤不要の「スナップ・トゥギャザーキット」なんです!

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しかも、キャビン、シャシー、駆動系、トレーラなど、それぞれ相応のプラ成形色になっているため、ビギナーや年少者は塗装しなくてもかなり色彩の豊かで精密感のある、全長50センチ近い迫力あるモデルを完成させることが出来るように工夫されています。
今でこそ国産プラモデルにも「ガンダム」に代表されるような「塗装・接着不要の精密キット」が出回るようになり「色プラ」といった名称も定着しましたが、エッシーやその先駆者のモノグラムでは70年代後半~80年代にかけて、すでにこのような1/32精密カーモデルをリリースしていたんですね。

エッシー製品というと、何となくヤボったいイメージがありますが、このキットでは組み立て易さも考慮して、分割すると組み立てにくくなりそうな複雑な部分は非常にデリケートな彫刻を持った一体成形部品で処理しています。このあたり、さすがだなぁ……と溜息が出てしまいます。


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マーキング類は、一般的な水に浸すタイプの「デカール」ではなく、極薄の「シール」になっています。
これも年少者への配慮でしょう。
それでも車体各部のコーションプレートやストライプなど、たいへん細かく再現されているのには感心させられます。
ここまで凝っていると、実際には喜んだのは子供達ではなく、機械好きな大人たちでしよう。


さてこのキット、ボルボ自慢の6気筒385馬力エンジン搭載のトラクタで強大なフラットベッド・トレーラを牽引して、途方もない大木を運搬する姿で完成するわけですが、その「大木」をどうやって再現するかといえば……。


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キットには「トレーラに積載する大木」を再現するため、本物の木の枝が3本セットされているのです!
枝といっても直径3センチ、長さも30センチ近くありますから、これが1/32とすると相当な巨木です。

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本物の木を部品として使っているということは、このキットは大量生産品でありながら、まったく同じものは世界に2つとして存在し得ないということになります。


近年になって、イタレリが今はなきエッシー製品をボチボチと再販し始めました。
イタレリは1/24スケールで各種の大型トラックを精力的に発売しているメーカーとしても知られています。
この隠れた名作であるエッシー1/32大型トラックシリーズも、ゼヒゼヒ積極的に再販してほしいものです。


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三共(日本)1/32 いすゞベレットデラックス (1966年初版) [自動車モデル]

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SANKYOU1/32 ISUZU BELLETT DELUXE


今はなき三共(三共ポリマー) が熱心に取り組んでいた「1/32ファミリーカーシリーズ」の一台です。



……のっけからお話が脱線してしまい恐縮ですが、まずは下の写真をご覧ください。


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上は僕が25歳の頃から約10年乗った1980年型の117クーペ。たしか最終生産型だったと思います。
真ん中は親父が1974年に発売された途端、飛びついて買った1600ccの初代いすゞジェミニPF50。写真に1975年の日付が残っています。運転席から顔を出しているのは(ボカシが入ってますが)オフクロです。
オフクロもよく運転していました。
なにせ「昔のヒト」なので、オートマよりマニュアルミッション車がお気に入りでした。

……そして下は、歴代の我が家のファミリーティーカーでもっとも愛されたベレット・デラックス。
恐らく1968年頃に撮られた写真だと思います。
ベレの後には、田舎の開業医だった親父が往診に使っていたマツダ キャロルがちょっぴり写っています。

81歳で亡くなった親父は昔から大のクルマ好きで、亡くなるほんの1年ちょっと前まで自分で運転して長距離ドライブを楽しんでいました。
ベレット、ジェミニ、フローリアンと乗り継いできた親父の影響で僕も“いすゞ党”になり、初めて買ったクルマが写真の117クーペXCでした。

このあたりの経緯は本家サイトBANANA GUYsのエッセイコーナーに駄文を寄せていますので、宜しければご笑覧ください。
http://www.tepproject.com/banana/contents/essay/20010802.html


……ベレットの1/32キットはアリイ(旧エルエス)の2ドア・ベレGがありますが、僕は4ドアのベレが欲しくて欲しくて仕方ありませんでした。やはり親父のベレが強く記憶に残っていたからです。

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このキットの存在を知って手に入れるまで、15年ほどかかってしまいました。
でも、趣味は焦らずノンビリと長く続けていくもの。
いつかは……と、諦めずに探していると、こんな逸品に出会うこともあります。
親父の乗っていたベレとは少しばかりタイプが違いますが、4ドアというだけで大満足です。

ボックスサイドには同じシリーズのアイテムも印刷されています。
マツダファミリアデラックス、スバル1000スーパーデラックス……今となっては貴重な、そしてあの良き時代を感じさせるラインナップです。
これらのアイテムが1966年頃にまとめて発売されています。

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子供にだって気軽に作れるシンプルな部品構成、ゼンマイ走行……懐かしさいっぱいのパッケージング!
こうして眺めているだけでも楽しくなってしまいます。
ずいぶんと古いキットですが、バンパーなどのメッキパーツが退色していないのを見ると何故かホッとします。


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ほんのちょっぴりディフォルメしてあるものの、ベレ特有の丸まっちぃ雰囲気をバッチリ捉えたこのセンスの良さ。
車の好きな人、そして片手の平に乗るような可愛らしい模型の大好きな人が設計したに違いありません。


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運転席にモールドされたドライバーは……スマートなレーシングドライバーなんかではありません。
そう、これは「ファミリーカーシリーズ」。
頼り甲斐のありそうな、ちょっとだけ宍戸錠さんに似た「お父さん」が再現されています。

マイカーが庶民の夢ではなく、手の届く存在になり始めた頃の、あったかいプラモデル。
もしも金型が現存するならば、是非とも再販してほしい素晴らしいシリーズのひとつです。

―――― 親父が亡くなってほどなく実家は処分され、影も形も無くなってしまいました。
このベレとエルエスのキャロルを使って、懐かしい我が家の庭先を1/32スケールで再現するのが、僕の夢です。
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童友社(日本)1/32 コスモパトカー (1968年初版) [自動車モデル]

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DOUYOUSYA1/32 MAZDA COSMO SPORTS POLICECAR


実は僕は幼少時、ミニカー集めに凝っていました。
それが小学校低学年の頃になって、ミニカーよりも少し大きくて、もっと精密な模型が欲しいと思うようになり、プラモデルの世界へと足を踏み入れました。
そんなこともあって、昔から「手に馴染む大きさ」の1/32自動車キットが大好きでした。

ところが……これが欲しくても、なかなか見つからなかった!
あの当時、未来世界の象徴のように思えていた最高にかっこいいスポーツカー。
先進のローターリーエンジンを搭載したマツダコスモスポーツです。

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その昔、自分が少年時代に1/32のコスモスポーツのプラモデルなんて、あったんだろうか?
もしもあるなら、今でも絶対欲しい!
そう思いつつ四半世紀が過ぎ、ようやく巡り会えたのがこの童友社のキットでした。

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この当時……1968年頃には名神高速にポルシェ912がパトカーとして導入されたことが話題になったりもしたそうです。
このキットも、その後登場するであろうコスモスポーツのパトカー(昔はトミカのミニカーなどにもありましたネ)を見越して発売されたものらしく、ツートーンの黒の一部と警視庁の文字はデカールで含まれていますが、パトカー特有の装備である回転灯やスピーカーなどの部品は含まれていません。
恐らく先発の、ノーマルなコスモスポーツのキットの気軽なバリエイションモデルとして発売されたのでしょう。

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それでもコスモスポーツ特有の流麗なフォルムはうまく捉えてあり、その後に登場したいくつかのミニカーなどよりも良く出来ています。
細部を観察しても、エアインテイクの立体的な表現やホィールなど、細かい彫刻が目を引きます。
当時の低価格帯キットとしては異例の繊細さで、メーカーさんの力の入れようがわかります。


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童友社の登録商標「マジックモーター」。ゼンマイを手でまかなくても、車体を後に下げるだけで走り出す……今で言うプルバック方式です。
箱絵にも、目立つように「PAT」のマークがあしらわれています。

さりげなく箱の隅っこに書かれたキャッチコピー。
「SIMPLY PUSH AUTO BACKWARD & LET`S GO…ZOOMMMM!! AWAY IT DRIVES.(原文ママ)」

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箱の側面にも……

「電池のいらないマジックモーター付き」
「車を後にこするだけでつっ走るる」

以上、原文ママ(^^;)

子供たちがササッと組み立てたあとは、畳や絨毯の上をつっ走るる!つっ走るるんです!

童友社のマジックモーターシリーズには、他にもダイハツP-5、日産R-380、日野サムライなどがあったそうです。

こんな楽しいキット、今でももっともっと、発売してほしいですね!

このコンテンツ執筆にあたっては、キットの素性調査の面で「プラモデルの王国」の高見敬一郎氏に多大なるご協力を賜りました。
この場をお借りして心よりお礼申し上げます。

中村産業(日本)1/24 BMWスパイカップ (1970年初版) [自動車モデル]

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NAKAMURA1/24 BMW 2800 SPICUP


なんとも不思議な車ですが、、その正体はランボルギーニ・ミウラやカウンタック、ランチャ・ストラトスなどのデザインワークで知られるカロッツェリア・ベルトーネの天才チーフデザイナー、マルチェロ・ガンディーニの手によるコンセプトカーで、1969年に発表された未来志向のガブリオレなのだそうです。


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この箱絵……とあるアンティークショップで見つけたときは、アッと声を上げてしまいました。

ナカムラというメーカーにはほとんど馴染みがありませんでしたが、この箱絵、そしてボックスサイドに印刷されている同じシリーズのエスパーダなどに見覚えがありました。
幼稚園生か小学校低学年生の頃、確かにオトナのヒトからこのシリーズを買ってもらった記憶があるのです。
こういうキットも、昔は子供たちの社交場である駄菓子屋さんで売られていました。


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当時はこんな自動車が本当にあるとは思わず、SF映画か何かに出てくるものだと思っていました。
名前からして、かっこいい「スパイの人」が乗るものなのだと思いこんでいました(バカだなァ)。
なにしろ街中で見たこともないクルマですから、子供にとっては映画に登場するスーパーメカも市販されないコンセプトカーも、同じ次元の「夢のマシン」なのです。

……“スパイカップ”とは、実際には「スパイダー+クーペ」の造語なのだそうです。
そんなことを30代になってこのキットと再会し、いろいろ調べてみてようやく知ることが出来ました。


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綺麗なメッキ部品でエンジンまで再現され、丈夫そうなゼンマイで走るようになっていますが、曖昧な記憶だと、この他にもムギ球でライトが点灯したり、モーターで走る版もあったように思います。
子供向けのイージーワーキングモデルといった感じですが、全体的にしっかりとした出来で、エッジのぎゅっと立った様子や細かいモールドなど、手を抜いていません。


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ナカムラは、律儀なメーカーだったのでしょう。
ボンネットに彫られたBMWのエンブレムをクローズアップで見てみると、いったいどうやって綺麗に塗装しようか困惑してしまいそうな細かさです。

子供を見下ろして子供向け商品を作っていない。
子供と同じ視線でものを考え、それでいて大人びたカッコイイ商品にしよう……そんな思いを感じてしまいます。

コンセプトカーのプラモデルというものも、今では見かけなくなってしまいました。
ちょっと淋しいですネ。

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