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レンウォール(アメリカ)1/32 75ミリ自動高射砲スカイスイーパー (1957年頃) [AFVモデル]

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Renwal 1/32 75mm Anti-Aircraft Gun M51 SKYSWEEPER

M51スカイスイーパーは1950年代中盤、ソ連空軍が米本土にいつ飛来するかわからないといった危機感の中で生まれた、いわば冷戦緊迫化時代の申し子とでも言える対空火器で、飛躍的に高速化した敵爆撃機を電子計算機とレーダー、高射砲弾速射機能を連動させて撃ち落とそうという極初期の弾道精密計算型防空システムです。
1950年代、レンウォールはこのような冷戦下における「西側の花形マシン」を次々に模型化しており、このスカイスイーパーの箱にも「我々の都市上空を守り抜く……」といった勇ましいキャッチフレーズが誇らしげにあしらわれていて、嗚呼そういうコワイ時代だったのだ……と、ナニヤラ納得してしまいます。


レンウォールの1/32ミリタリーモデルは1970年代初期に同社の消滅後に金型がレベルに引き取られたらしく、1980年代以降にはレベル「ヒストリーメイカーシリーズ」に含まれたり、また単発で再版され、一時はレベル傘下に入ったマッチボックスのブランドからも販売されたアイテムもありましたが、どうしたわけかこのスカイスイーパーとラクロスミサイルキャリアなど数点はレベルから再販されることがなく、稀少品となってしまいました。
21世紀に入ってからもレベルは温存しているレンウォールの金型を使って時折限定復刻を行っているようで、レンウォール初版の箱絵まで復刻させた品も存在しますが、スカイスィーパーは一向に姿を現しません。
金型の破損などで“幻のキット”になってしまったのでしょうか??

下はレンウォール製品に付属していたミニカタログ記載の当時のラインナップです。

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このスカイスイーパーをはじめとして、8インチ自走榴弾砲、ナイキやホークのミサイル群、5トンレッカー車など、現在に於いても他社からビッグスケールで発売されていない珍しいアイテムが多く含まれていることがわかります。
280ミリ原子砲“アトミック・アーニー”など、今後も模型化するメーカーは出てこないのではないでしょうか。


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スカイスイーパーの開発にあたっては、第二次大戦型の設計を持つ75ミリ高射砲を基にしながらも最新鋭の高射砲を造ろうということで、当時の一流重機械工業や精密機器工業が総出に近いかたちで駆り出されており、その開発チームにはスペリージャイロスコープ社、A.C.スパーク社、GM、アメリカンマシンアンドファンダリーなどなど、当時の先端を行く錚々たる企業名が並んでいます。
このキットでもそういった先進性をアピールするべく「電算機」のコントロールパネルのハッチが開いて中が見えたりスコープが起倒式になっていたりと、当時の未来的メカニズムを演出するギミックが備えられています。


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操作要員のフィギュアもセットされています。
実はレンウォールは総じてフィギュアの造型が弱く、せっかくボリューム感のあるミリタリーマシンのキットであっても付属のフィギュアを使ってしまうと何ともチープな仕上がりになってしまう危険性があり、このあたりの造形力、企画力はレンウォールと同時期の1950年代からフィギュア付きの各種ミリタリーモデルを豊富にリリースしていたアダムズ・スナップやレベルの1/40、そしてモノグラム1/35などと比べると、いささか見劣りしてしまいます。
そんな中でもこのキット付属のフィギュアはレンウォール製としてはかなり「上の部」に入る仕上がりで、頑張ってヒケ部分を埋めて服のシワのモールドを彫り込んだり、ヘッド部分を出来の良いエアフィックス1/32フィギュアの部品と交換したりすれば、もしかしたらなんとかなるんじゃないかなぁ……と思わせるものがあります。

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地味な存在ながら、移動姿勢と射撃姿勢の両方が完全再現出来るオール可動キットです。
タミヤ往年の名作 1/21スケール「155ミリ砲M2ロングトム」が1963年に、そしてMMシリーズの88ミリ砲が1972年に登場するまでは、恐らく世界的に見ても火砲モデルの最高峰のひとつだったのではないかと思えるほどのデラックスモデルです。
ここまでの火砲キットをリリースしておきながら、レンウォールはなぜ牽引する車両のほうまで作らなかったのかが不思議です。



―――― 今となっては稀少なキットではありますが、部品段階でもある程度は完成品の姿が予想できる各種車両のキットとは違い、火砲のキットというのはなかなかミステリアスで、なんとか完成品を見てみたいという衝動に駆られてしまい5年ほど前に一個作ってみました。
最近では珍しい、けっこう真面目なスカイスイーパーの完成品写真です。ご笑覧ください。


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しかし……これがまたエラク建て付けの悪いキットでした(笑)
何せ50余年も昔のキットだから仕方ないのですが「面が出ない」というのでしょうか、現在のキットと違って箱組みの部品の接着部分が表面に露出してしまうので、それを他のモールドを消さないように注意しつつ整形し、きちんと直角を出して複雑な火器ならではのシャープさを演出するのが少々厄介なキットでした。
ただ、丁寧な作業を心がければそれに応えてくれるキットでもありました。
あまり飛躍した工作はせず、キット内容を尊重しつつ各部にそれらしいディテールを加えたり、注意書きのデカールを他から流用して貼り込んで、雰囲気アップに挑戦しています。
当初は陸自仕様で作ろうとしていましたが、レンウォールのスカイスイーパーに付属しているデカールの米軍高射砲部隊のマーキング「ホウキで敵機を払い落とす魔女」がイタク気に入ってしまい、1950年代からの貴重なデカールでもあるし、これを使用することにして必然的に米軍仕様となってしまいました。
昔は自衛隊のパレードなどでもお馴染みのメカでしたから、このキットを入手して実際に組み立てた方の多くはマーキングを工夫して陸自仕様にしたのではないかと思います。


ちなみにこのスカイスイーパーとベストカップルといえば、やはりコレでしょう。
農機や各種トラクタの名門アリスチャルマース社が開発したM8A1砲兵用トラクタです。
牽引状態で写真を撮ってみました。
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別項で牽引している日東科学製M8A1トラクタも採り上げています。
是非ご覧ください。
http://vintageplamo.blog.so-net.ne.jp/2010-05-07

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