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日東科学(日本)1/24  トヨタS800 クリスタル (1982年初版) [自動車モデル]

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NITTO1/24 TOYOTA S800 Crystal Version


日東科学が放ったトヨタS800いわゆる“ヨタハチ”の本格的1/24スケールキットです。
日東の自動車モデルといえば1/32クラスの100円ゼンマイカー、一世を風靡して豊富なラインナップを誇った1/28及び1/24の「サーキットの狼」シリーズやFF走行の1/24軽自動車、1/12国産バイクなどが記憶に残っていますが、そんな中でも1980年代に入るやいなやリリースされた「1/24名車シリーズ」のホンダS800、トヨタS800、日産SR311は日東のカーモデルの集大成ともいえるこだわりの品で、プロポーションの良さと精密感を併せ持つ安定した品質で多くのファンの支持を得ました。

その2年後に登場したのが「1/24名車シリーズ」の3車種の主要部品を美麗なクリアパーツ(透明部品)に改めた
「1/24クリスタルモデルシリーズ」でした。

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……僕はこのうちトヨタS800、日産SR311を所有していますが、正直さほど古い品というわけでもなく、あらたまってご紹介せねば、と言うほどの稀少な品ではありません。
今でも模型店の片隅で売れ残りを見つけたり、中古品店でも普通の価格で買える品だと思います。

ただ個人的にたいへん想い出に残っているキットなので、ちょっとだけご紹介させていただくことにしました。
しばしお付き合いくださいませ。



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1960年代のプラモデルにリアルタイムで親しんだ経験のあるベテランモデラーの皆さんからすれば、往年の名作モノグラム1/32「P-51ファントムマスタング」の影響で当時各社から連発された透明部品多用のクリアモデルは懐かしくもあり、また今となっては少しばかり古風な意匠と感じられるかも知れませんが、1965年生まれでこのキットの発売当時は高校生だった僕にとって、主要部品のほとんどが透明部品というこの“ヨタハチ”はとても新鮮に感じられ、店頭で見つけたときにはモワァ~ッと妄想が脳内を駆け巡ったものでした。

このキットをうまく仕上げれば、よく自動車図鑑や自動車メーカーのカタログに載っていた、車体が半分透けて内部のエンジンやサスペンションが見えるように描かれている透視図……ああいうものが立体で作れると思ったのです。
そこでボディの左半分は綺麗に塗装して、右半分との境目はエアブラシ塗装による美しいグラデーションによって透明となり、内装品やエンジンまでが見える……という趣向の、ちょっと大人びた仕上げにチャレンジしました。


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……結論から言えば、僕はこのキットを買うために店頭で支払った800円をムダにしてしまい、ずいぶんと落ち込むことになったのですが(笑)

当時の僕の技量ではエアブラシ塗装で「真っ赤に塗装されたボディ左側から、キラキラの透明に変わるボディ右側への境界線の美しいボカシ処理」はまったく無理で、透明サイドにまで塗料の飛沫が飛び散って見苦しいことになりました。
またそれ以前の問題として……これは透明部品の多いプラモデルを作ったことのある方ならおわかりでしょうが……透明部品というのは、ほんの少し接着剤がはみ出ただけでダイナシになってしまうシロモノで、場合によっては少し多めに接着剤を塗ってしまった部分の周辺まで白濁してしまい、修正がまったく不可能になってしまうのです。

その結果、とても他人様にお見せできるような完成品にならず、さっさとボディ全体を真っ赤に塗りつぶして、普通のプラモデル完成品にしてしまいました。

これがけっこうトラウマになっていて、この歳になってもプラモデルの透明部品を扱うときは、例え小さなジープのフロントウィンドのようなただの透明の板のような部品であっても、少々緊張してしまいます。

……あれから幾年月。
いつかはリベンジしてみたいと思い、新たに買い求めたこのキットを今も手許に置いています。


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昔はミュージックカセットテープ、今ならCD……たいてい透明のプラスチック製ケースに入っていましたが、買ったばかりの新品の頃はすごく高級感があったのに、少しでもキズが付いたりホコリを被ってしまうと、途端になんだか安っぽく見えてしまう……そんな経験、ありませんか?
クリアボディのプラモデルというのもまったく同じで、その部品の美しい透明度イコールそのモデルの存在価値と言えるほどで、取り扱いにはひどく気を使ってしまいます。
とくにこのヨタハチは透明のボディと、やはり美しく成形されたメッキ部品のコントラストが“命”ともいえるキットで、こうして部品を眺めているだけでも、作るときのことを想像してチョット緊張してしまいます。


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ボディはブリスターパックされて箱に収められています。
この当時の1/24クラスの自動車キットではモーターライズ走行するのが一般的で、日東もこのキット以前はゼンマイやモーターで走るキットを数多くリリースしていましたが、このキットでは思い切りよく走行機構を廃して、エンジンの再現などに力を入れています。
ブリスターパックの底に印刷されているのは組み立てられたエンジン部分の写真です。


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組み立て説明書からの抜粋。
エンジン部分は後の工程で「伸ばしランナー」を使って各種のパイプ配管の追加工作を奨めています。
また付属の薄いシートと部品を使ってシートベルトも実車通りに再現するなど、小柄とはいえ相当本格的なキットであることがわかります。

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ボディをブリスターパックから取り出して撮ってみました。
非常に美しい成形に感嘆してしまいます。

自動車のプラモデルを作るのは難しいなぁと、つくづく思います。
戦車や戦闘機と違って、例えこのヨタハチのような旧車であっても、現物を街中で見かけるチャンスが多いからです。
ウソをついて適当に作ると、誰が見ても不自然な仕上がりになってしまう。
このキットはそれに加えて部品の美しさをキープしなければならない。
その仕上げの難しさを考えると、僕が持っている国産プラモデルの中でも、これはもっとも難易度の高いもののひとつではないかと思います。


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