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モノグラム(アメリカ)1/35 イーガービーバー2.1/2トントラック (1957年初版) [AFVモデル]

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MONOGRAM1/35 2.1/2ton Truck Eager Beaver

“イーガービーバー”とは「働き者のビーバー」という意味で、第二次大戦から米軍の戦術輸送の主力として大量に使用された2.1/2トントラックの愛称です。
通常は2.1/2トンを表す“Deuce and a haif” ジュースアンダハーフと呼ばれていました。

ちなみに米軍トラックの「トン数」の規格は「その重さまでの荷物を積んでも、戦車と同じクロスカントリーが走れますよ」という意味だそうで、このイーガービーバーも2トン半までの荷物を積んでいても過酷な不整地を戦車部隊に随伴して走破できます。
一般的な道路ならばその2倍は積んでも大丈夫とのことで、米軍の2.1/2トントラックは日本の民間型トラックの感覚で言えば5トントラックということになります。

……地味な存在ではあるけれど、今も昔もトラックは重要な兵器システムであり、モノグラムは1950年代から軍隊の象徴としての戦術輸送トラックを抜かりなく模型化しています。


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2000年に入って台湾のAFVクラブが名作キットM35A2トラックを発売して軍用車両ファンを喜ばせましたが、AFVクラブのM35A2が主に1970年代からカイザージープ社が生産した10輪型(後2軸ダブル)であるのに対して、モノグラムのイーガービーバーはそれ以前にレオ社が生産していた6輪型(後2軸シングル)で、カーゴボディの形状をはじめとして各部に違いがあるため、50余年前にリリースされた骨董品とはいえ、軍用車両ファンにとってコレクションアイテムとしての魅力はいまだに曇りません。



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ちなみにM34トラックは『バルジ大作戦』『パットン大戦車軍団』などなど、昔の戦争映画によく登場していました。たいていはグレイに塗られて第二次大戦中のドイツ軍車両の役でしたが、このキットを使うと昔の戦争映画の雰囲気のディオラマが作れるという楽しみかたもあります。



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1980年代に入って翻訳本が出版されたアメリカの有名モデラー シェパード・ペイン氏の名著 「How to Build Dioramas(ハゥトゥビルドディオラマ)」で、郵便物を運んできた米軍トラックの見事なディオラマが紹介されていましたが、あの作品に使われていたトラックがこのイーガービーバーで、国内メーカーが発売していた第二次大戦型トラックと明らかに違う車種だと気づいてからは、このトラックが欲しいなぁ!と思ったものでした。


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軍用トラックのキットというと複雑な足回りなど工作が大変厄介なものではないかと先入観を持ってしまいますが、モノグラム製品は昔から部品の一体成形化が進んでいて、このイーガービーバーもビックリするほど少ない部品で構成されています。
僕は過去に3台ばかり作った経験がありますが、組み立てるだけなら1時間で終わってしまうほどです。


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1970年代以降は完成品見本写真箱に変わって長らく販売されていました。
その後モノグラムがレベル社の傘下に入ってからは映画『M★A★S★H(マッシュ)』のテレビ版のキャラクターモデルとして登場人物のフィギュアやディオラマベースを追加して売られたり、ジープとセット販売されたりしていましたので、今でも手に入れることが出来ますが……。


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ただ残念なのは、その後の再販品には初版に入っていたフィギュアが含まれていないという点です。
初版にはドライバー、無線手、トミーガンを持ってステップに足をかけた下士官、車外で戦闘するバズーカ砲チームとライフルマンのフィギュアが含まれていました。
特にステップに乗る下士官は他のキットに付いていない、イーガービーバーだけのボーナスパーツでした。


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1970年代のモノグラムのキットに付属していたミニカタログからの抜粋。

モノグラムといえばやはり航空機や自動車のキットがお馴染みで人気もありますが、AFVキットも魅力的で、現在の目で見ても貴重なアイテムがいくらか含まれています。
これら1950年代にモノグラムがリリースしたミリタリーモデルには詳しいスケール表示はありませんでしたが、後にはこのカタログにあるとおり1/35スケールであることが明記されました。
どのアイテムも販売期間が長かったこともあり、有り難いことに現在でもさほど苦労することになく入手することができますが、やはり初版の箱の味わいは捨てがたいものがあります。
モノグラムのミリタリーモデルは僕のお気に入りのシリーズです。
これからもドンドンご紹介していきたいと思っています。


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シズキョウ(日本)1/250   XM474E2ロケット戦車 (1964年) [AFVモデル]

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SIZUKYOU1/25 XM474E2 Pershing missile system


XM474というのはまたシズキョウらしいマニアックな製品名です。
これは有名なM113APC(装甲兵員輸送車)を改装してつくられたミサイル輸送車(キャリア)の名称で、背中に載せている主役……巨大なミサイルのほうは「MGM-31 パーシング」という中距離弾道ミサイルです。
「パーシングミサイル戦車」という名前を付けて売ったほうが消費者にはわかりやすいようにも思いますが、米軍の中戦車M26にもパーシングという名前が付いており、1960年代にはシズキョウを含む数社からパーシング戦車のプラモデルが発売されていましたから、差別化を図ったのかも知れません。
それでも一応、箱絵には小さく“Pershing”と書いてありますね!

核ミサイルの移動式発射システムという何とも恐ろしげな兵器のプラモデルですが、この当時は冷戦真っ直中! こういった兵器がよくマスコミにも採り上げられていたし、海外の製品にもミサイル系の玩具、組み立てキットが多く見られましたから、いわば「流行物」だったのかも知れません。国産キットにも「ミサイル戦車」がいっぱいありました。
シズキョウがこのキットを企画した意図には、他社のミサイル戦車プラモデルへの対抗心もあったのでしょう。
……このキットが発売されて40余年。この類のミサイルが実際の戦闘で使用されなかったのは本当に幸運でした。
そういう意味でも「冷戦時代の遺物」として興味深い品です。


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30年ほど前の模型誌のオールドキット紹介記事に掲載されているのを見て以来、気になっていたキットでした。
僕がプラモデルの趣味を本格的に始めたのは1972年前後ですが、その頃にはもう店頭でこういうキットを見つけるのは大変難しかったのです。


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さてこのキット、製品説明に大きな謝りがあります。
スケール表示が「1/250」になっているのです!これじゃあ戦艦のプラモデルのようですネ。
実際にはヒトケタ違いの1/25のようです。
ちなみに英語表記でXM474が軽量でクロスカントリー走行性能に優れた車体だということがさりげなく紹介されています。


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作って遊ぶワーキングモデルらしく、非常に丈夫な車体設計になっています。
車体上部の工具やラジエーターまでモールドされており、何枚かの実車写真を参考に模型化されたことがうかがえます。


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基本はシンプルなシングルモーターライズ走行キットです。
赤い帽子のようなものはミサイルの“弾頭”です。
実物のミサイル弾頭は危険極まりないものですが、このキットの弾頭は子供がケガをしないように柔らかいゴムで出来ていて、このキットの中でもっとも“安全”な部品となっています。


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搭載するミサイルは車体上部に載せたままか、あるいはドーリーごと降ろして牽引走行させることができます。
ミサイルランチャーが垂直にエレクトして、スプリングでミサイルを発射させることができますが、なぜかミサイルの前半部だけがビヨ~ンと飛んで後半部はランチャーに残ってしまいます。

……詳しく思い出せないのがチョット悔しいのですが、このキット、テレビの特撮番組の撮影用ミニチュアとして使われていたのを見た覚えがあります。
確か「ウルトラマン」のどれかの回だったか「スペクトルマン」だったか昔の映画の「ギララ」だったか……あれっ?プラモデルみたいのが走ってきた!と思った記憶があります(笑)
1/25サイズの製品なので特撮用ミニチュアセットとの相性が良かったのでしょう。

この頃のちょっと大きめの戦車プラモデルはときおり特撮映画、特撮番組の小道具に使われています。
お好きな方はDVDで画面をストップモーションにして探してみるのも楽しいかも知れません。

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