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クラウンモデル(日本)1/35 アメリカ陸軍 中戦車 M60パットン (1974年) [AFVモデル]

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CROWN MODEL 1/35 U.S.Medium Tank M60 Patton

1960年代より米軍戦車隊の主力として使われていたM60戦車の1/35モーターライズキットです。
どうしたわけか箱絵には「ウェッジシェイプ型」砲塔を搭載した改良型のM60A1が描かれていますが、キット内容は亀甲型砲塔を載せたM60……すなわち、他社プラモの製品名で模型ファンにはお馴染みとなった「M60スーパーパットン」です。


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クラウンのプラモデルの箱を眺めると、今となっては懐かしい1970年代の駄菓子屋さん、雑貨屋さんの匂いを思い出してしまいます。
あの頃、クラウンは1/35モーターライズをはじめとして1/50程度の大きさのノンスケール物などのモーターライズやゼンマイ走行など、多種多様な戦車モデルを発売していましたが、タミヤやニチモの戦車がどちらかというと大人びた雰囲気のマニア向けで模型専門店や大手デパートの模型売り場で買い求めるような品だったのに対して、クラウン製品は学校の近くの駄菓子屋や文具店で子供たちがその月のお小遣いの範疇で手軽に買えるシンプルな廉価版といった風情で、テリトリーの“棲み分け”ができていたような印象があります。
また同社1/35キットの多くはタミヤ製をはじめとする他社キットを大いに参考にして、また場合によっては複数社のキットやスケールの違うキットの内容までも組み合わせ、それを手本として独自の商品を仕立てていたように思われます。


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このM60パットンのキットは僕にとって「幻の品」でした。
少年時代に何かのお土産でもらって作った覚えがあるのですが、その後は一度も店頭で見ることがなく、もしかするとそんなキットは実在せず、長らくタミヤ1/48ミニタンクシリーズの「M60スーパーパットン」と勘違いしていたのかも知れない……と思っていたのです。
それが近年になってお友達に実在したことを教えてもらい、頭の中のモヤモヤとした霧が晴れたような思いで、そうこうするうちにオークションで現物を発見して嬉々として購入したのでした。


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このM60パットンは、車体は明らかにタミヤの「M60A1シャイアン」を参考にしていますが、シャシー部分は実車の「舟艇型」とも言われるなだらかな膨らみを割り切りよく省略して単純な箱型としてあります。


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砲塔はタミヤのシャイアンの「ウェッジシェイプ型」砲塔とは違って、M48パットンの亀甲型砲塔をベースに形状を微調整して105ミリ砲を搭載したものになっており、かなりきちんとM60用砲塔の形状を再現してあります(つまり単純なM48パットンの砲塔形状でもありません)。
当時はニチモや今井科学が大スケールでM60を製品化していたので、もしかするとそのあたりを手本にしたのかも知れませんが、いずれにせよこのクラウンのM60パットンは現代に至るも「唯一のM60の1/35スケールキット」ということになります。その意味では大変貴重です。


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チョコレートブラウンの成形色の部品がタミヤ1/35「M60A1シャイアン」です。
こうして並べると、まさに兄弟キットなのですが、先に述べたようにクラウンのキットはタミヤと「似て非なるもの」……部品分割やモールドの面にも年少者向けの低価格帯商品としての工夫が施されているようです。



―――― とにかくクラウンの製品は多種多様で、僕は今もその全貌を掴んでいません。
似たようなキットでも箱絵が違ってみたり、同じ型式でも大きさや価格が違ったり。
メーカーが違うのに中身が似ているキット……他社の模倣品ということも当時は多かったでしょう……だけど違う製品名。
似てるけどチョットだけ違うキット内容……そういうものが店頭に並んでいると、当時の子供はひどく混乱したものでした。


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例えば、これはクラウン1/35の「M60A2イロコイス」。
この箱絵の戦車……どう見ても、タミヤが1/48ミニタンクシリーズで発売していた「M60A1E2ビクター」と同じであり、しかもそのタミヤ自体、このビクターと実にソックリな戦車を1/35で「M60A2チェロキー」という名称で発売していました。

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形は同じなのにビクター。
同じ型式名なのにチェロキーとイロコイス。
さっぱりワケがわからない。

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21型とか52型とかの違いはあっても零戦は零戦だろ? これは何で名前まで違うの??……という感覚でした。
当時の田舎の子供に、それは模型メーカーが独自に付けた「製品名」だなんて解るわけがないのです(笑)
こちらもチョコレートブラウンの成形色の部品がタミヤ1/35「M60A2チェロキー」です。


……しかし今になって考えると、この製品名のアイデアというのも模型文化のひとつだったように思います。
以前、本家サイトでこんなコラムを書きました。

http://www.tepproject.com/banana/contents/essay/20011201.html

そこにも書きましたが、例えば海外の映画を日本で配給するときに“邦題”が付けられます。
本来その作品が持っている内容のイメージを損なうことなく、時代のトレンドにマッチした語句を散りばめてあり、原題と比べるとなかなか楽しいものですが、模型の商品名もそれに似た感覚で楽しみたいというのが僕の考えです。


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モノグラム ミリタリージープ (1957年) [AFVモデル]

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MONOGRAM 1/35(?) MILITARY JEEP with 37mm ANTI TANK GUN

モノグラムは1950年代から1/35スケールのミリタリーモデルを発売していましたが、アメリカ軍のトレードマークともいえる1/4トントラック“ジープ”も抜かりなくラインナップに加えています。
遊び心を忘れないモノグラムは、このキットではフィギュアとともに可愛らしい37ミリ対戦車砲をオマケに付けています。


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1972年になってタミヤが1/35MMシリーズでウィリスMBを発売したことにより、ようやくミリタリーモデルファンは本格的な第二次大戦型ジープのキットを作ることが出来るようになりましたが、それ以前はこのクラスのジープのキットとしてはスナップ1/40とともにこのモノグラムしかありませんでした。
他のアメリカ製ミリタリーキット同様、このジープも日本国内メーカーの製品に大きな影響を与えたようです。
単品販売の他、レベル(Revell)のブランドに移ってから一時は映画「MASH」のテレビシリーズのキャラクターモデルとしても販売されたり、M34イーガービーバー・トラックとセット販売されたりもしました。


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僕がこのキットを初めて見たのは高校生の頃で、当時は完成品写真パッケージで売られていました。
後になって1957年の初版以来、様々なバージョンの箱絵で販売し続けられていたことを知り、そのクラシカルな画風に魅せられて買い集めるようになりました。
過去に3つほど作ってみましたが、少しばかりディテールアップしたとしてもタミヤ1/35旧MMのジープの半分以下の時間で完成してしまう、何とも愛らしいキットでした。


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発売当初、明確なスケール表示はなかったようですが、おおむね1/35スケール・クラスでまとめられています。
厳密に計測はしていませんが、ご覧のようにタミヤ1/35のウィリスMB(新版)と比べてわずかに大柄で、およそ1/33スケールといったところでしょうか。


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シンプルなパーツ分割で組み立ては簡単。
ボディ側面にはM1カービンなどを収納する革製のライフルスカバードが一体成形されるといったモノグラムらしい遊びが加えられています。
この内容に関わらず、実際に組み立てて眺めてみると、とくに真横からのスタイリングなどは見事で、タイヤとシャシー、そしてボディのバランスが美しく決まります。

ただし、他の多くのジープのキット同様にフロントグリルには誤りがあり、MBジープらしさがやや損なわれているのが惜しまれます。

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第二次大戦型ジープ ウィリスMB及びフォードGPWの「ツラガマエ」の特徴は、ボンネット(エンジンフード)が地面に対して水平ではなく、なだらかな曲面になっており、それがフロントグリルグリルよりやや前に突き出ていて帽子のツバのように影を作り、そしてフロントグリルの縦穴9本のうち左右2本がやや短く、ヘッドライトの開口部分はわずかに「逆オムスビ型」をしていて、その中に奥目がちに真円のヘッドライトが光っている……といったところで、このいくつかのシンプルな特徴さえキチンと掴んでいれば、子供でも本物ソックリのジープの「似顔絵」が描けるほどなのですが、これらの特徴の中でも特にヘッドライト開口部の形状を正確に表現したのは全スケールのキットを通じてタミヤMMシリーズの「SASジープ(1974年発売)」が初めてでした。


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3体のフィギュアと37ミリ対戦車砲のボーナスパーツ。
特に37ミリ砲は2010年に至るまで他社からは発売されていない唯一のインジェクションキットです。
第二次大戦中期からはさすがに対戦車用としてはパワー不足でしたが、対戦車用徹甲弾や対歩兵用キャニスター弾など各種の砲弾が発射できるのが特徴で、取り扱いと整備も簡単だったことから大戦末期まで支援火器として重宝されたようなのでディオラマの小道具などには便利なのですが……。



―――― 15年ほど前に作った物の写真が残っていました。
お目汚しですがご笑覧ください。


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現在のキットと比べてディテール描写がシンプルなので、ドライブラシでモールドを浮かせていますが、こりゃあチョット、やりすぎですね!(笑)

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シンプルで作りやすくシルエットが良いということもあって僕はこのキットが大好きで、今もまた改めて作ってみようと思い、またひとつ、いじくり回している最中です。
いくつ作っても飽きないのもモノグラムのキットの良さではないかと思っています。


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