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タミヤ(日本)1/35 M4シャーマン (1966年初版)  [AFVモデル]

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TAMIYA 1/35 M4A3 Sherman 76mm Gun Tank

モーターライズ戦車キット華やかなりし頃にタミヤが発売した76ミリ砲搭載型M4A3シャーマンです。
ところがなぜか商品名が「M4A3E2」になってしまい、E2というのは装甲強化型の“戦線突破型”として造られた特殊な型式のシャーマンいわゆる“ジャンボ”のことなので、当時は戸惑ったマニアの方もいらっしゃったかも知れません。
当時このクラスのシャーマン戦車のプラモデルはレベル1/40(実寸1/35)とその亜流モデルしかなく、すべてサスペンションが水平ボリュートスプリング型(HVSS)だったので、このキットは珍しい垂直ボリュートスプリング型(VVSS)として喜ばれたそうです。



―――― まず、この画像をご覧ください。




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おっとっとスミマセン!
冒頭から誤解を招くような展開をしてしまいました。

この画像はタミヤのM4A3E2シャーマンの完成品ではありません。

僕が中学生の頃に作った「76ミリ砲型M4A3シャーマン」です。


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かれこれ30余年前のシロモノで、半分スクラップ状態で実家の倉庫に残っていました。
それを数年前に帰省した際に発見して、砲塔やシャシー、サスペンション、ギヤボックスのダメージが少なかったので、もしかしたらナントカ生き返るかも知れないゾ!と、一発奮起して補修・再塗装したものです。


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当時発売されていたタミヤの「M4A3E8イージーエイト」の車体と砲塔に小改造を加え「M10襲撃砲戦車」のシャシーや細部部品をそっくり流用して作ったものです。
記憶を辿りながら、なるべく当時の姿に戻そうと破損・欠損部分を修復していきましたが、イージーエイトの車体にM10のライトとライトガードを移植して接着位置を変えてあったり、砲塔のピストルポート(薬莢排出口)をプラ板とパテで自作したりといった工作は当時そのままです。
なにせ中学生にとって2個の戦車プラモデルを組み合わせて1台を作るというのはとても贅沢な作業なので、2個のキットの部品から使えるものは何でも使ってしまおうという感じで仕上げてあるのがわかります。
ヘタッピな中学生なりにいろいろ工夫して作っています。


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模型専門誌で紹介される山田 卓司氏やフランソワ・バーリンデン氏らの作品の影響もあって、あの頃から車体にアクセサリー部品(荷物)を満載した仕上げが好きで、このモデルでもM10やM3A2ハーフトラックに付属していた今となっては懐かしいアクセサリー、そしてティッシュペーパーやガーゼで作ったシートなどをいっぱい載せてあります。
よくよく考えると不自然な荷物の載せ方をしている部分も多いのですが、ここも敢えて当時の状態のままにしてあります。

また中学生当時はヘタな筆塗り仕上げで、厚塗りのため一部のモールドが消えかかっていたりとベッタベタな感じでしたが(笑)
その質感をそのまま残しつつも、今回はエアブラシを使って塗り直し、細部も小まめに塗り分けたので、当時より多少は小綺麗に仕上がっています。
もちろん当時はドライブラシもウォッシングも上手に出来ませんでしたから(笑)もっとベタ塗りな仕上げでした。
それを考えると今回の仕上げは、チョット反則ですネ。
これら再塗装にともなってデカールも貼り直しましたが、これはタミヤM4A3E2のオマージュにしようと思い、同キット付属のデカールをスキャンしたものを元に若干アレンジして自作したものを使っています。



中学生の僕がなぜこんなシャーマンを作ったかというと……。
昔はバンダイが「ミスターシャーマン」という商品名で1/48スケールの76ミリ砲型M4A3を発売しており、なんとかお手軽な工作でその1/35版が作ってみたいと思ったのと、老舗の模型店のショーウィンドウの中に飾られていたタミヤのM4A3E2の完成品を目撃して、同じような物が欲しくなってしまったからなんです。


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タミヤのM4A3E2は1966年末から3年ちょっとの間だけ販売されていたとのことで、僕が中学生の頃にはさすがにもう何処にも売っておらず、当時は古いタミヤ製品に対する知識もなかったので模型店に飾られていた完成品を見たときはマニアが古いキットを使って改造したものか、または昔タミヤがそんな製品を発売していたのか、どっちとも判断がつかず、いろいろ考えているうちに似たような物が欲しくなってしまったのです(笑)


―――― 僕が本家本元のタミヤ製M4A3E2を手に入れたのは、それから四半世紀以上も経ってからのことです。



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このM4A3E2のキットが大改修されて陸上自衛隊でも使われていた「M4A3E8イージーエイト」として生まれ変わり1970年から発売されるわけですが、設計の古さから来るフランクな部分を差し引いても、このM4A3E2(実際にはM4A3)のキットのほうが第二次大戦を舞台にしたディオラマや情景写真では使い道が広いし、絶版を惜しんだ方も多いかも知れません。
絶版にともなって、もしかするとその昔、僕と同じような改造で76ミリ砲型M4A3をお作りになった方って案外多いのではないでしょうか。
お小遣いを叩いてイージーエイトとM10(M36ジャクソンでも良かったんだけど、M10のほうがアクセサリーがいっぱい付いていて100円ほど高くてもお買い得な感じがしました)を買ってきて、M10のシャシーにイージーエイトのボディが何の改造もなしにパコッ!とはまってくれたときには、ちょっと感動しませんでした?(笑)



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なかなか高級感のあるキット内容で、走行機構用金属部品がブリスターパックされています。一昔前の高級キットにはよく見られたパッケージング手法ですが、資料によればタミヤの戦車プラモデルでブリスターパックが使われたのはこのキットが初めてだったそうです。


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ゴムキャタピラとサスペンション部品。
僕も含めて後の世代のモデラーは、このサスペンションは同社の「M36ジャクソン駆逐戦車」「M10襲撃砲戦車」のものと同一だろうと思い込んでしまいがちですが、実際にはまったくの別物で、サスペンション本体のスプリングケース部分とサスペンションアームが別部品化されています。スプロケットなどの形状もM10/36とは違いがあります。
キャタピラは実車のT-48型を再現。これは「ラバーシェブロン」と言われるもので表面が硬質のゴム製であり、またシャーマンを含む米軍戦車のキャタピラテンショナー(キャタピラの緊張具合の調整装置)はきつめにセッティングされてキャタピラはピンと張っているので、このようなモーターライズ走行用ゴム製キャタピラでも思った以上に実車の雰囲気を醸し出していますが、ただ残念なことにキャタピラ両側にある特徴的な山型突起付きエンドコネクターが省略されており実感を損ねるとともに、たぶんキットをモーターライズ走行させてもキャタピラ脱落の度合いが高かったのではないかと思います。


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ボディと砲塔は基本的に後のイージーエイトと同じですが、実車同様にイージーエイトにはこのキットの車体部品にオーバーフェンダーを追加モールドしたことがわかります。
少年時代にイージーエイトを作ったとき、箱絵と違って向かって右側のヘッドライトとクラクションホーンの位置が逆になっているのが不思議でしたが(箱絵が正解なのは皆さんご承知の通りです)このM4A3E2でも同じ誤りがあります。

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1990年代以降、シャーマン戦車は1/35でも高品質の製品が豊富に発売されるようになり、今ではとくに難しい工作を行わなくても立派な76ミリ砲型M4A3の模型を手に入れることが出来るようになりました。
製品そのものの出来映えに不満を覚えたり、我慢しなくても済むようになったのです。

模型ファンとして本当に嬉しい反面、この古いタミヤのキットや少年時代の自分が作った作品を眺めていると、こういうのどかな時代も模型作りというもの自体になにやらオモシロ可笑しい楽しさがあって、何故だかいつもワクワクしていたなぁ……と思ってしまいます。


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オオタキ(日本)1/35 ドイツ陸軍装甲車 ピューマ.3 (1967年) [AFVモデル]

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OTAKI 1/35 Panzersphwagen(Sd.Kfz.234/2) mit 5cm KWK.L/60 “PUMA”


“Puma”は第二次大戦後半期にドイツ軍によって使われた高性能の装甲偵察車で、正式名称はSd.Kfz.234/2といいます。
プラモデルファンの間では“Puma”のドイツ語風発音の「プーマ」という名前でお馴染みですが、大滝はピューマと読ませています。
またキットの組み立て説明書には「Panzersphwagen(Sd.Kfz.234/2) mit 5cm KWK.L/60 “PUMA”」と詳しい正式名称が表記されているにも関わらず箱に印刷された商品名は「ピューマ.3」となっており、この「.3」が何を意味するのか、気になるところです。


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1970年代初頭のタミヤ情景写真コンテスト作品集「パチッ特集号」を見ていると、明らかにタミヤ製品ではない不思議なシルエットの装甲車モデルを発見することがあります。
前々から、これはいったい何だろう? と疑問に思っていたのですが、このオオタキのキットを見つけてようやく疑問が解けました。
まだまだ市販されているキットの種類も少なく、また実車の詳しい資料も簡単には手に入らなかったあの当時、エネルギッシュな先輩方はこのキットを改造してドイツ軍の大型装甲車を作り、情景写真に使っていたのです。


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以前オオタキの「T-92デストロイヤー」を採り上げましたが……

http://vintageplamo.blog.so-net.ne.jp/2010-04-29

その項で、
「1960年代のオオタキ製AFVキットの持ち味は 独自のアレンジと男らしいしつらえ、これに尽きると思います」
……と述べました。

今回のピューマ.3にも同じことが言えます。
この頃のオオタキ……立ち位置がブレていません!(笑)

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もしかすると1960年代から発売されていたオーストリアのロコ社製HOスケールモデルを参考にして、図面を引き延ばす感じでデッサンしたのか、それともほんの2~3枚の平面図を基に設計して、その際に実車の形態的特徴が薄められてしまったのでしょうか……これまた戦車などにお詳しい方が何の補足説明もなしにこのキットの完成品を見せられたら、何処の国の何という装甲車なのかしばらく考え込んでしまいそうな、実に思い切ったアレンジに仕上がっています。


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シングルモーターライズ仕様ですが、走行系には興味深い設計がなされています。
後輪2軸はギヤボックス。ここはタミヤが1966年に発売した1/35モーターライズ「M8グレイハウンド」と同じようにギヤボックスそのものがシーソー式に動いてサスペンションが効くようになっており、前後の車軸に輪ゴムをかけて両方が駆動するようになっている点まで似ています。
発売時期を考えると、タミヤのグレイハウンドへの対抗意識があったのでしょうか?


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最前部はスィッチを兼ねてのステアリング可動。
その後の車軸はプラ素チックの弾性を利用したサスペンション可動。
なにせタイヤが8個もある車体ですから、そのどれもにサスペンション機構や駆動機構を盛り込んで、動かすと楽しいキットに仕上がるように工夫されています。


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現在の目で見るとスケールモデルというよりファンタジーに近い珍品ですが、冒頭で述べたように、他に同種のキットが無かった1960年代当時、ドイツ軍の大型装甲車を再現した貴重なキットとしてマニアの改造ベースとしての需要もあったようです。

今これを作るならば、実車との違いはそのままに「これがオオタキのテイストなのだ」と納得して丁寧にストレイト組みで作るか、フィクションモデルと割り切って自分なりに工作を加えてオリジナル仕様で作って楽しむか……迷ってしまいます。


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