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バンダイ(日本)1/32 ジープ ウィンチ・無反動砲付き (1968年) [AFVモデル]

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BANDAI1/32 JEEP with 75mm Recoilless rifle & winch


その昔、少し古めの……ガンダムのプラモデルで一躍脚光を浴びる前の時代のバンダイ製プラモデルを買うと、小さなカタログがオマケに入っていました。
それに掲載されていてずっと気になっていたのがこの1/32ジープです。


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これはバンダイ純正のキットではなく、テトラ模型が設計したものがバンダイに移ったものではないだろうかと思っています。設計のクセやデフォルメのセンスが他のテトラ製品と良く似ているように見えます。
テトラが「U.S.機甲師団シリーズ」と銘打って1/32スケールのモーターライズ走行する各種のトラックなどを発売していたのが1967年。このジープはその後に続くラインナップとして製作されたものの、テトラの消滅で同社から発売されることはなく、先発のトラックのキットなどともにバンダイに移ってから発売されたのでしょう。


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恐らく……という言い方もおかしいのですが(笑)
全体の雰囲気から推測するに、M38ウィリスMCジープに大型ウィンチと75ミリ無反動砲M20を装備したかなり贅沢なジープを模型化しているらしいのですが、テトラ特有のデフォルメが効いていて、ジープに詳しい方だと車種の特定ができずに首を傾げてしまうような形に仕上がる愉快なキットです。


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全体のモールドは1960年代後半の国産キットとしては標準的なもので、シャシーとリジットリーフのサスペンションを別部品化したり75ミリ無反動砲の装填部や照準器部分を細かく再現したりと、かなり精密感には気を使っているのがわかります。


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ところが、例えばジープ特有のフロントグリルは漫画のようだし、シートの間には電圧計のようなメーターのある謎の計器がモールドしてあり、加えてエンジンフードを何故か先細りに成形してしまったため、もはやウィリスジープではなくなってしまって何処か別の国のクルマのようになってしまいました。
ちなみにヘッドライトにはムギ球を仕込んで電飾するように指示されています。


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車体前端の大型ウィンチにはゴムバンドを仕込んでおきます。
フックを指でつまんで引っ張ってワイヤーを伸ばし、指を離すとワイヤーがスルスルと巻き取られるというわけです。


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シャシーにFA-13モーターを載せて後輪を駆動させ、その電力供給は牽引する1/4トントレーラ内に納めた単三電池でおこないます。


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これは組み立て説明書に描かれている完成図ですが、キットの特徴をよく表現しています。
このスタイルを見ても、何を参考にして模型化したのか、よく掴めないのが正直なところです。
少なくとも海外製品のコピーではなく、テトラが独自に開発したものでしょうが、もしかするとその昔ハスブロ社が発売していたG.I.ジョー人形用の巨大な1/6スケールのジープや、モノグラム社製のジープを多少は参考にしているかも知れません。


―――― 人気者のジープのことですから、古今東西とても数え切れぬほどの各種モデルが発売されており、一説によると1990年代には金属製玩具なども含めて世界中で3000種類以上が確認されていたそうです。
ひとつの特定車種を扱ったアイテム数としては驚くべき量です。
ジープの生誕60周年をとっくに過ぎてしまった現代では、その数はもっともっと増えていることでしょう。

その中には、こんな珍品もあったのです。
僕はジープが大好きなので、できるだけ精密で素晴らしいプロポーションを持つ模型が欲しいといつも思っていますが、とはいえこういったキットは無理に改造してリアルにするよりも、正直にそのままの形で組み立てて、模型メーカー独自のアレンジによって実車とかけ離れたフォルムになってしまったという事実そのものを楽しむべきではないかと思ってしまいます。

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