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田宮(日本)1/35  M8グレイハウンド装甲車 (1966年) [AFVモデル]

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TAMIYA1/35 M8 Greyhound (OLD MOTORIZE)


その近代的なフォルムから、第二次大戦でも比較的後期に登場した大型の装甲車のように見えますが、実際のデビューはかなり早く、大戦中盤には姿を現した小型軽量の高速装甲車です。

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田宮がモーターライズで走る戦車をいっぱい発売していた1960年代に登場したこのユニークなキット。
僕は小・中学生時代に2つばかり作って楽しみました。

……えっ? TACは1965年生まれだから、それでは時代が合わないって?

そのとおりなんです。
でも、僕が育ったのは九州・宮崎県の片田舎。
僕が中学生になる頃まで、こんな古いキットが売れ残って、新製品と一緒に店頭に並んでいることもあったんです。
あの頃は1/35の米軍車両はまだまだ少なくて、グレイハウンドも田宮のものが唯一でしたから、多少内容が古くても、作れるだけで嬉しかったものです。
もちろん、古いキットだからといってプレミア価格が付くような時代ではありませんでした。


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さすがにその頃にはもう、精密感抜群のミリタリーミニチュアシリーズやトミーMAXのキットなどが発売されていたので、このグレイハウンドの内容にはちょっぴり違和感を感じました。
例えばこの人形……内部がガランドウのオープントップ砲塔の上から前方を指さし確認している指揮官ですが、
こんなテイストの人形をキットに付属させるメーカーは、当時はもうありませんでした。

……昔ながらの模型ファンの方はもうお気づきですよね。
この人形、往年のモノグラムの米軍ハーフトラックに付いていた指揮官の上半身を複製したものです。
あの当時は、大手のメーカーでも、こうして海外の製品を参考にしていたんですねぇ……。


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ガランドウの内部には不満が残ったものの、実際に組み上げて走らせてみると、とても楽しいキットでした。
前輪の軸には小さなスプリングが挟み込まれてサスペンションが効くようになっており、2軸の後輪もモーターを入れた金属製ギヤボックスごとシーソー式に動いてサスペンションが効いているように見えるというアイデア。
この後輪2軸は輪ゴムを引っかけて連動させるようにもなっていました。
画像に写っている輪ゴムは梱包に使われていたものではなく、このキットのれっきとした「部品」なのです。


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ボックスサイドには実車解説と、初版で使われた小松崎茂画伯の箱絵が印刷されていました。
勇壮な陸上自衛隊装備車両の絵です。キット付属のデカールも陸自仕様のものになっていました。
実際には陸自のM8は少数が運用されただけでしたが、こうして見ると日の丸もよく似合う車体だということがわかります。
残念ながら僕はこの初版キットが売られているのをリアルタイムでは見たことがありませんが、この箱絵が懐かしいと感じるベテランさんも多いのではないでしょうか。





―――― 現在ではタミヤもMMシリーズに新設計のグレイハウンドのキットを加えており、誰にでも気楽に精密なグレイハウンドを作れるようになりましたが、僕はこの旧作モーターライズ版の楽しさが忘れられず、いつかキチンと格好良く作ってやろう……と思っていました。

そして2009年。ようやく複数のキットが手に入ったのを機に、思い切って作ってみることにしました。

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キットのモーターライズ機構、サスペンション可動はそのまま生かしてあります。
電池ボックスとスィッチは、少年時代に作った際よく接触不良を起こしたことを思い出して、現行品に交換してみました。

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実は少年時代に作ったとき、キットのタイヤが好きになれませんでした。
悪くはないんだけど、なんだか力強さが足りないなぁ……映画『レマゲン鉄橋』で走っていたグレイハウンドのタイヤはもっとゴッツかったよなぁ……そんなことを考えたものです。
今回はたまたま手許にあったマックス模型1/35「M26ドラゴンワゴン」のキットのスクラップからゴム製タイヤを流用してみました。
幸運なことにキットのホィール部品にきっちりはまってくれました。
またライトガードなどの細部には余っていた米軍車両用エッチングパーツを使用。
その他はMMシリーズのグレイハウンドを「タミヤ純正ディテールアップパーツ」と解釈して、使うとドレスアップになりそうな要所の部品だけ活用してみました。

……ところで、大西将美 画伯のパッケージイラストをつぶさに観察すると、この絵のM8が砲塔上に装備しているブローニングHB50機関銃は、あまり見かけないガンマウントに載せられていることに気づきます。
これがも~昔から気になってました。

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そこで勢い余って資料となりそうな洋書を注文。
検証した結果、これは1944年春頃に実用化された前方折りたたみ式の「D67511ホールディングピントルブラケットマウント」というものであることが判明しました。。
そこでプラ細工でソレナリに見えるように部品を自作して箱絵に近い雰囲気に仕立ててみました。

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さぁ、完成です!


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せっかくなので、キットそのまま完全ストレート組みのものもこしらえてみました。

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「少年時代の自分は、こんなふうに作りたかった!」を実現させた完成品です。
この工作は極個人的なシリーズとしてずっと続けていきたいと思っています。



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