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マックス模型(日本)1/35 ホワイト M3A1スカウトカー (1973年初版) [AFVモデル]

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MAX1/35 White motors M3A1 SCOUT CAR


マックス模型は、ミリタリープラモデル全盛の1970年代初頭、他社では見られないようなマニアックなアイテムを矢継ぎ早に発売して、やがて消えていった幻のようなメーカーです。

M3A1は1930年代後半にトラックの名門メーカー、ホワイト社が設計した指揮・偵察用の装甲車で、第二次大戦が始まる頃にはすでに旧式化していたため米軍ではさほど使われませんでしたが、有名なパットン将軍が北アフリカ戦線で運用していたこともあって、戦史家にはよく知られた車体でした。
一般的ユーザーの人気……というものを考えつつもドイツ軍アイテムではなく米軍アイテムを発売しようとした場合、普通ならばM2またはM3ハーフトラックかM8グレイハウンド装甲車を発売する方向に向かいそうですが、アメ車でありながら英連邦軍やソ連軍で多用されたこのクラシカルなスカウトカーを選んでしまうあたりが一捻りの得意なマックスらしいセレクトのように思います。

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僕が初めて作ったマックスのキットが、このM3A1スカウトカーでした。

……告白しましょう。

小学2年生の僕は、このキットが作れませんでした。
完成しませんでした。悔しくて、泣きました。
小学生が作るには、あまりにも高度な内容だったのです。
これは一種のトラウマになりました。その後いくつもタミヤの戦車や装甲車を作り、かなり腕前は上がっていったものの「いや、まだまだマックスのキットを作るときには油断してはいけない……」ずっとそう思っていました。
このトラウマが解消されたのは中学生になってからで、恐る恐る買ってきたマックスの(その頃には、トミーのブランドから発売されていました)M3A1を1週間かけて注意深く組み立て、無事に完成させました。
あのときの嬉しさは今でもよく覚えています。友達にも自慢しました。


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とにかく凝った設計のキットでした。
タイヤ装着部分の部品分割は、組み立て説明書によれば「実車と同じ機構になっているので、タイヤ交換中のジオラマも作れます」というほどのもので、この部分だけでも4つのタイヤすべてをバランス良く組み込むのが大変でした。


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キットには3体のアメリカ兵のフィギュアが付いていました。
当時、タミヤのフィギュアはみんなキチンとボタンを留めてお行儀の良いものばかりでしたが、マックスのものはガンベルトを付けず、ボタンを外したラフな恰好で、格好良いなァと思ったものです。
ただし、お顔の造作やポーズのバランスなどはあまりよくなく、子供心にナントカしたいと思ったのを覚えています。
中学時代に「リベンジ」したときは、頭や腕の部品をタミヤのものに交換して、格好良く仕上げようと努力しました。


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これもすごかった……。
M3A1はM2ハーフトラック同様に車体の周囲をグルリと囲むようにガンレールが取りつけられ、その上をガンマウントがスルスルと滑っていくような機構になっていますが、マックスのキットはこれを完全再現して、ガンマウント可動になっていました。
ところが、子供が作るとガンレールとガンマウントの間に接着剤が入り込んで、うまく可動させることはとても不可能でした。
しかしこういった部分にも、メーカーの意気込みが感じられます。


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マックス、そのこだわりの極致。
ドアの部品には「四角の中にバッテン印」のようなモールドが付けられています。
これは米軍機械化騎兵部隊の伝統的なエンブレムです。
M3A1は機械化騎兵の偵察部隊などで使用されましたから、その象徴としてのモールドです。
実車もこれは真鍮の銘板のようなものですから、マックスはデカール処理にせず、立体的なモールド表現を選んだのでしょう。
ちょっと見ただけでは気づかないこだわりです。
今度作るときには絶対、綺麗な真鍮色で塗ってみたいものです。


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マックスというメーカーは1980年代を待たずして消滅。
その金型はトミーに受け継がれました。
その後はイタラエレイ(イタレリ)に移りましたが、その際イタレリは「作り易さ」を考慮して金型を改修しています。
イタレリ改修版はその後テスターやズベズダからも発売されており、今でも手に入れることが出来ます。
しかし、今までに紹介してきた「実車と同じ構造のタイヤ取りつけ部分」や「可動式ガンレール」また3体のフィギュアなども省略されています。
特にイタレリ版では、マックス版に付属していたモールドの素晴らしい「展開状態のホロ」などもなくなってしまい、ズベズダでは新しくホロの部品を追加して販売していますが、その品質はマックス版には及びません。

現在も手に入るイタレリやズベズダ版はかなり作りやすくなっているので手軽に楽しむことが出来ますが、
少年時代、苦労しながらも何とか頑張ってマックス版を作れた経験が出来て幸せだった……と思っています。


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