ブログトップアンダー03.jpg

ニチモ(日本)1/35 アメリカ陸軍155mm自走曲射砲M109 ボストン (1967年初版) [AFVモデル]

Boston01.jpg

Nichimo1/35 M109 SPG Boston


少年時代、1/35クラスの戦車プラモデルと言えばすでにタミヤの独壇場の様相を呈しており、時折見かけた他社製品を試しに買ってみる……といった具合でしたが、そんななかでもニチモはタミヤとダブらないアイテムもけっこう豊富に発売していて、また田舎では流通が今ひとつでなかなか見かけないこともあってお気に入りのニチモ戦車キットを見つけたときはちょっぴり得をしたような気分になりました。

Boston10.jpg


この155mm自走曲射砲 ボストンもタミヤから発売されていない車種でしたが、少年時代にはいちども見かけたことがありませんでした。


Boston03.jpg



……ところで今、なにげなく「155mm自走曲射砲ボストン」という名称を用いましたが、模型ファンの皆さんはご存じの通り「曲射砲」は「榴弾砲」と呼ぶほうが一般的ですし、実際のM109自走砲には後になって大改修されたM109A6が「パラディン」と呼ばれるまで、正式なコードネームは与えられていません。
ですからこの車体は本来「M109自走155ミリ榴弾砲」と呼ばれるものです。
ボストンは、ニチモが独自に付けた商品名です。

しかし何故ボストンなのだろう?

M109の生産地に関する地名を見てもデトロイトやクリーブランドなどで、とくにボストンとは関係がありません。
またアメリカ独立戦争に由来する何かの意味合いがあるのかとも思いましたが、確かにボストンは独立戦争の舞台となった街のひとつで「ボストン包囲戦」などの大きな事件はあったものの、巨大な火砲を搭載した自走砲に相応しいエピソードがあるわけでもなく、はたまた野球のボストン・レッドソックスとの関係もなさそう……と、いろいろ調べてみましたが結局わかりませんでした。



Boston02.jpg


ニチモのM109ボストンは1967年にまず一般的なモーターライズキットとして発売され、1970年には「ゼネコンレッド」使用バージョンが新規発売されていますが、車体の造作そのものは同一です。


Boston04.jpg

大柄なわりにはシンプルな構成で、少し塗装でタッチを付けてあげないと間延びした仕上がりになってしまうかも知れないと心配になりますが、カッチリしたモールドなので近代的な戦闘車両という雰囲気はよく出しているように思います。


Boston05.jpg

キャタピラは当時一般的だったゴム製で、これはモーターライズ走行させるときに抜群の走破性を発揮してくれます。
ただM109は当時の米軍戦車としては比較的珍しい上部サポートローラの無い足回りで、実車のキャタピラはその重みで弛んでおり、ゴムキャタピラだとその雰囲気が出ないため重量感の面では多少不満が残るかも知れません。



1980年代になってイタレリが1/35のM109シリーズを豊富に発売しました。

Boston06.jpg



ちょっとニチモのボストンとカンタンに比較してみましょう。

Boston07.jpg

ランナーの付いているグリーンの部品がイタレリです。

細部表現に関しては、かたやモーターライズ走行を楽しむためのシンプルなキット、かたやそれから20余年後に発売された精密ディスプレイキットなので単純に比較するのは詮なきことですが、基本的な寸法は両車ほぼ合致します。
ニチモはかなりマジメに1/35で模型化していたことがわかります。



―――― 待てよ……。

昔の国産キットは、大なり小なり海外製キットの影響を受けていることがあります。
このボストンはどうなのだろう?……イカンイカン、悪い癖です。
古いプラモデルをいじくり回してばかりいると、すぐにそういう勘ぐりをしてしまうのです。


Boston08.jpg

とりあえず1965年に発売された米・オーロラ社製M109の1/48キットが手許にありますから、まぁ物は試しです。
軽く比較してみようと思い立ちました。



Boston09.jpg


……ドラえもんのデカチビ光線銃を当てたみたい!

しかしニチモのボストンは1960年代の品です。当時は実車の詳細な資料も手に入らなかったでしょうし、タミヤが実践したように海外の博物館などに取材に行くというのもそう簡単なことではなかったと思います。
そんな中、輸入品のキットが自社製品の参考品とされることもよくあったのでしょう。

当時オーロラ1/48キットを買って「この自走砲が1/35だったらなぁ」と思ったファンには喜ばれた……そんな言い方をしては擁護しすぎでしょうか(^^;)

僕は気楽にオーロラ1/48、ニチモ1/35、そしてイタレリ1/35を作り比べて楽しもうと思います。
何だか、この3つのモデリングでプラモデルの歴史の流れそのものが楽しめるような気がするのです。


nice!(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。