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エッシー(イタリア)1/32 ボルボF12.20 “TRACTOR&TIMBERTRAILER” (1983年初版) [自動車モデル]

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ESCI1/32 Volvo F12.20 “TRACTOR&TIMBERTRAILER”


世界中で活躍する老舗ボルボの名車F12トラクタと、材木運搬に使われる7.9メートルフラッドベッド・トレーラのセットです。
キットは80年代初頭のもので、さほど古くはないのですが、内容が大変ユニークですのでご紹介させていただきます。

昔から自動車キットは1/32が大好物!
子供の頃からいろいろなキットを買い漁りましたが、このくらいのスケールになるとマニア向けというより年少者・ビギナー向けという位置づけになるようで、多くのキットは組み立てオモチャ的なものにまとめられていました。
そんな中、欧米のメーカーの製品は例えそれが子供向けの小さな自動車キットであろうとも、決して手を抜いていない……といった印象がありました。

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エッシーも、同じコンセプトのキットをいろいろ発売していた先発モノグラムに刺激されたのか、80年代に子供から大人まで楽しめる大型トラックのキットのリリースを始めました。
少年時代、同社のカタログは手に入れたものの、キットそのものはどこにも売っておらず、欲しくて欲しくて仕方がありませんでした。
何せ、あの当時は国産の1/32トラックのプラモデルといえば「トラック野郎シリーズ」くらいしかなかったのです。

大人になってやっと買えた、エッシーの1/32トラック。
改めて内容を観察すると……いやぁビックリ仰天です!

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まず、この部品の山をご覧ください。
ボルボ特有の堅実でマッシブなフォルムと繊細なディテールを、沢山の部品を組み合わせて再現するようになっていますが……これだけの部品数を誇りながらも、このキットは接着剤不要の「スナップ・トゥギャザーキット」なんです!

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しかも、キャビン、シャシー、駆動系、トレーラなど、それぞれ相応のプラ成形色になっているため、ビギナーや年少者は塗装しなくてもかなり色彩の豊かで精密感のある、全長50センチ近い迫力あるモデルを完成させることが出来るように工夫されています。
今でこそ国産プラモデルにも「ガンダム」に代表されるような「塗装・接着不要の精密キット」が出回るようになり「色プラ」といった名称も定着しましたが、エッシーやその先駆者のモノグラムでは70年代後半~80年代にかけて、すでにこのような1/32精密カーモデルをリリースしていたんですね。

エッシー製品というと、何となくヤボったいイメージがありますが、このキットでは組み立て易さも考慮して、分割すると組み立てにくくなりそうな複雑な部分は非常にデリケートな彫刻を持った一体成形部品で処理しています。このあたり、さすがだなぁ……と溜息が出てしまいます。


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マーキング類は、一般的な水に浸すタイプの「デカール」ではなく、極薄の「シール」になっています。
これも年少者への配慮でしょう。
それでも車体各部のコーションプレートやストライプなど、たいへん細かく再現されているのには感心させられます。
ここまで凝っていると、実際には喜んだのは子供達ではなく、機械好きな大人たちでしよう。


さてこのキット、ボルボ自慢の6気筒385馬力エンジン搭載のトラクタで強大なフラットベッド・トレーラを牽引して、途方もない大木を運搬する姿で完成するわけですが、その「大木」をどうやって再現するかといえば……。


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キットには「トレーラに積載する大木」を再現するため、本物の木の枝が3本セットされているのです!
枝といっても直径3センチ、長さも30センチ近くありますから、これが1/32とすると相当な巨木です。

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本物の木を部品として使っているということは、このキットは大量生産品でありながら、まったく同じものは世界に2つとして存在し得ないということになります。


近年になって、イタレリが今はなきエッシー製品をボチボチと再販し始めました。
イタレリは1/24スケールで各種の大型トラックを精力的に発売しているメーカーとしても知られています。
この隠れた名作であるエッシー1/32大型トラックシリーズも、ゼヒゼヒ積極的に再販してほしいものです。


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